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次の日の夜明け頃、縁は家に向かって歩いていた。炭治郎には1人にしてしまって悪かったと謝ろう。みんなに新しい着物を買ってきたから着て欲しい。そんなことを思いながら山を登る。家まであと、少しという所で本来、匂うはずのない匂いがした。
縁「え……これ、血の匂い?どうして?まさか!?」
最悪の事態を想像してしまった縁。呼吸を使って人間ではありえない速さで家に着く。
縁「!?」
家の前には六太が血を流して倒れていた。慌てて駆け寄るが六太は既に事切れていた。扉から中を見ると家の中は血だらけで全員六太と同じように事切れていた。
縁「そんな……僕のせいだ。……隣山に行かなかったら……こんなことにはならなかったのに……。ごめんねっ!本当に……ごめ"……ん"」
涙が溢れ出て止まらない。怒り、後悔、嘆き、懺悔、恨み。いろいろな感情が渦巻く。そんな縁はある事に気がついた。
縁(炭治郎と禰豆子が居ない。もしかしたら!)
縁は2人が生きているという望みに賭けて意識を集中させ目を閉じる。
縁(呼吸を整えろ。感覚を研ぎ澄ませろ。読み取るんだ。この山の全ての気配を)
一気に研ぎ澄まされる全ての五感。ゆっくりと"両目"を開ける。もしもその場に生きている人がいたならばその眼光に失神、否、死んでいたであろう。眼光はまさに獲物を狩る鷹の如く。
縁「見つけた」
森を駆け抜けて行く縁。その”左目”は既に閉じられていた。2人のことろまで来ると1人の刀を持った剣士がいて、炭治郎と禰豆子は地に伏せている。2人が倒れている。それだけで縁はさっきの様な負の感情に飲み込まれた。こんなことは初めてだ。
縁「貴様、僕の弟と妹に何をしているんだ?」
縁は容赦なく己の武器である薙刀を伸ばして刃を振るう。剣士は咄嗟の判断で(否、野生の勘と言った方が正しいであろう)攻撃を止めた。ギチギチと刀が震える。だが、縁の方が力が強く剣士は刀が折られるギリギリで後ろに飛び退いた。
?「(誰だ、この男は?物凄く強い。背筋が凍るようだ。今の俺では絶対に勝てない。しかも、何か勘違いしている。誤解を解かなければ)待て、勘違いしてないか?」
縁「勘違いだと?」
剣士が問うて少し冷静になった縁。薙刀の刃の所を包帯で巻く。剣士は"冨岡義勇”と名乗った。どうやら口下手のようだが細かく何が起こったのか説明してくれた。
縁「……そっか、そんなことが。すまないね、いきなり刃を振るったりなんかして」
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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年8月9日 9時