第零話 懐かしの友 ページ3
時は戦国の世。人々が己の為、人の為に戦いを繰り返し血を流しているこの時代。そんな世の中の裏では、人外たる鬼と己の命を賭けて戦う者達がいた。彼らは鬼殺隊と名乗り平和の為に暗躍していた。
その鬼殺隊を追放された者が一人いた。その者は類まれなる天才にして八百万の神に愛されていた。そんな彼を心配して追放した後も連絡を取り合う者が多々いたが、彼が本当に連絡を取りあっていたのは一人だけだった。
彼とその者は終生の友と言っても過言では無かった。彼はその者を尊敬し、信頼していた。その者も彼の事を愛しい家族のように思い、可愛がっていた。
彼は歳をとっていくにつれて肌には皺が出来て髪は白く染まって老いていった。だが、その者は歳衰えることも無く姿形は変わらず全盛期のままだった。
その者は彼に自分の秘密を全て打ち明かした。自分が人間では無いこと。ましては鬼でも無いことを。それは常人には受け入れ難い事で拒絶を覚悟していた。
だが、彼は受け入れた。それはその者が心優しく、愛し愛でる事を知っているからだ。もし彼以外に話したとして、話された側は受け入れることは出来なかっただろう。
二人は恋仲では決してない。彼には生涯愛すると誓った者がいて、その者は人に恋するという事が分からなかったから。それでも二人は彼が終わるその瞬間まで一緒にいた。それは二人が先程語ったように終生の友だからだろうか。
彼が亡くなった後、その者は亡骸を彼の愛した者が眠る場所へと連れて帰り弔った。決してその場所が汚されるようにと墓を中心に彼岸花と藤の木を植えた。更にその周りには猛毒の花々を植えて何者の侵害も許さなかった。
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?「何を見ているのですか?」
?「さぁ?何だろうね。知りたいなら自分で考えてみな」
?「……私は貴方様ではないので貴方様が何を見ているか分かりかねます」
?「フフ、君は相変わらずだね。丁寧すぎる」
?「そうでしょうか」
?「うん、そうだよ。もう少し崩してもいいと俺は思うのだけど」
?「でしたら、全てが終わった暁には貴方様と対等な関係を築きたいと思います」
?「それは良いね。じゃあ、早くこの戦いを終わらせないとね、****」
****「勿論です、***様」
***「さぁ、行こうか」
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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年8月9日 9時