【初期刀？】黒本丸浄化の旅【いいえ、初期槍です。】 (ページ36)

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陸奥守吉行ページ36

顕現してしまった刀剣男士は明らかに堕ちていた。

身体の至る所が黒く染まっていて、彼の周りには黒い人魂のようなものが浮遊している。

「わしは陸奥守吉行、こん本丸の初期刀じゃ」

こちらを警戒しては居るものの襲って来る気配は無い。

戦う気は無いことを示すため全員本体を下に置いて貰う。

「審神者か……」

憎々しげながら何処か悲しそうな表情で呟き
此方を見やる。

「貴方を、救いたいんです」

一瞬目を見開き、直ぐに目を逸らされた。

「わしは一番最初の主の初期刀じゃった。
主は、ちっくと欲が強いとゆうか、
欲しい物は手に入れるまで執着し続けた。

三日月の時だってそうじゃ
厚樫山に毎日出陣して、手入れ出来るばあ資材は残ってなかった。」

重い口を開いて語り出す
遠くを見つめ、何かを懐かしむ様に。

「練度の低い短刀やらも駆り出された。
まったい刀剣らぁが集中攻撃を喰らって、
殆どいき来んかった。
それから、本丸内に罅が入った。
主の命令を無視するもん、主を責めるもん、
見損なった、と天に還るもん。
それぞれじゃった」

皆、聞き入っている。

「皆の我慢の限界が来たがを悟ったわしは
主の寝所に忍び込んてせめて一瞬でおくようにと、心臓を刺し貫き………殺いた」