229話 ページ29
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エレベーターが最上階まで上がっていく。
ドアが開くと、暗い廊下を歩いて行くよう促される。
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一番奥のドアに辿り着く。
ノックをしようと息を吸った時、
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「…っ…うっ…」
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また、突然の吐き気。
気持ち悪い胸を抑えながら、静かに息を吸う。
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「…(ただの吐き気、だよね)」
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息を吐いてからノックすると、タイミングを見たかのように開いたドア。
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ガチャ…
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「……失礼します」
暗い室内に入ると、奥の机でPC画面の光に照らされたあの人がいた。
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Owner「よく来たわね。そこに座ってちょうだい」
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言われるがまま、ソファに腰を下ろした。
中には彼女と、ドアの前に立つ二人の男。
予想よりも警備が薄い。
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Owner「私からも話があったんだけど、あなたからも私に話があるんですって？」
「…」
Owner「いいわ。聞いてあげる」
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そんなものは時間稼ぎの口実だったけど、こうなってしまえば正直に話すしかない。
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「…『Filter』の実行を、もう一度考え直してくれませんか」
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私の言葉に、目の玉だけを向けた彼女。
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Owner「……まさか、話したい事はそれだけだなんて言わないわよね？」
「…それだけです」
Owner「…そう」
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しばらくの沈黙の後、彼女はわざとらしく溜息を吐いて立ち上がった。
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Owner「何回も言わせないで。『Filter』は必ず実行するわ。私の目的のためには、それが唯一の方法なのよ。分かるでしょ」
「…それでも、ジミンまで巻き込むのはどうかと思います」
Owner「あら。自分の息子を利用して何が悪いの？」
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なんの悪びれもなく言ったその人に、息を呑んだ。
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Owner「あなたとあの子は、私の目的のために生かしてあげていたようなもの。それがなければ、あなた達は今頃ここにはいないわ。感謝してもらいたいわね。成人近くまで生きられるなんて、奇跡みたいなものよ」
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ブルーライトに照らされたその顔が、不気味に嗤った。
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ごまだんご(プロフ) - 一気に作品を読んで泣いてしまいました。できればみんなが幸せになったお話も読んでみたいです。本当に大好きな作品で何回も読みなおすと思います。楽しい時間をありがとうございました。 (2022年12月28日 8時) (
レス) @page50 id: 5bbfc1626a (このIDを非表示/違反報告)
みさちむ(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いてます。その後のお話など読みたいです！ (2022年11月22日 2時) (レス) id: 8d36829a6a (このIDを非表示/違反報告)
Machiya(プロフ) - ただのねこ。さん» わぁぁぁ嬉しいコメントです…！！｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2022年7月27日 21時) (レス) id: ef956d5f5d (このIDを非表示/違反報告)
ただのねこ。(プロフ) - もう、、も、あーーーー…泣く… (2022年7月27日 19時) (レス) @page50 id: 9db02e4d47 (このIDを非表示/違反報告)
Machiya(プロフ) - ruja_3さん» 最後まで読んでいただきありがとうございます！！そんなことを言っていただけるなんて本当に嬉しいです…！！ (2022年1月13日 10時) (レス) id: ef956d5f5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Machiya
| 作成日時：2021年3月20日 21時
