SUMMER LIVE〜これ以上はまだ浮かばない〜 ページ34
兄弟喧嘩を始めそうな一歩手前で、そうライはため息をつく。
「あ…あぁ。ゆっくり休憩しろよ。20分くらいは休憩しようか」
「長いなぁホント。心配性〜」
頭をポリポリと掻きながら、セイは言う。
「うるさいわね!しょうがないじゃない!親からもしっかり見るように言われているんだから!」
ヨシが、バンド活動をしていいかどうか、親たちに聞いて回ったらしい。
その際毎回言われた言葉が、『あなたが面倒みてくださいね』という言葉だったらしい。
―――自分の親が心配症なのか。もう高校生だから好きにさせてほしい。
MYO全員が、そう心の中で愚痴っていた。
「とにかく!大丈夫だと思うから、ヨシはもっと自分の心配もしな!ヨシも熱中症なってないわよね!ほら、水飲みなさい!」
ライは、お母さん口調でヨシにそう言いながら、水の入ったペットボトルを渡した。
そんな二人を微笑みながら眺めたカイは、ギターを持ち直し今の想いをメロディーにして音を出した。
そのメロディーはゆっくりだったけれど、なぜかテンションがあがってくるような、これから頑張れるような、この一瞬が楽しいという意味のような、いろんな事が感じられた。
「カイ、それ即興?」
「そうだぜ」
こちらを見ながらそう返事した後、今にも歌いだしたいような顔でギターを弾く。
ユイはカイの代わりに歌ってあげたくなり、立ちあがった。
『なにも怖がることは無い 明日を目指す僕らの』
ユイも今思いついたばかりの歌詞をカイのメロディーに合わせて歌い始めた。
『なにも持つものはない 無一文の旅に出よう』
そう歌い終わると、メロディーも歌声も突如消える。
「「これ以上はまだ浮かばない」」
カイとユイは同時にこっちを向いてそう言った。
「いや、これ以上って!カイの即興に合わせられるってどうなってるのよユイ!」
ヨシは驚きのあまりそう声を上げる。
「あんたの脳はどうなってるのよ!!」
「いや、多分普通じゃない…んだと」
「普通じゃなさすぎ!なに!?二人はなんなの!?血でもつながってんの!?」
ヨシは、興奮のあまりあることないこと考え出してしまう。
「いや…私にもよくわからないんですけど、やっぱ天から歌詞――」
「本当に天から歌詞がくるの!?」
『メロディーも来る。あ、でもユイに合わせた覚えはないから、ユイがすごい』
「私は確かに合わせようとは思いましたけど、それは歌詞だけえあって」
ユイは、謙孫のつもりかそう冷静に言うが、ヨシは一度ごくりと唾を飲んで叫んだ。
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作者名:Hi-chan | 作成日時:2017年6月27日 16時