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All right of Incident〜嬉しかったはずだった〜 ページ28

その影響で、もしかしたら目を覚ました時に声が出ない可能性があると、医者から言われたらしい。
「嘘でしょ……そしたら…」
「・・・・・うっ…」
その話しを聞いたヨシは、我慢の限界になったのか唸りながら、逃げ出した。
「ヨシ……!!」
ライは、逃げ出したヨシを追って、走り出す。
「ヨシ……事故だって…」
「事故を負わせたのは俺だろ…!!俺なんだよ、轢いたのは俺―――」
「静かに」
ライは警察が見ているんじゃないかと思い、ヨシを一度、静かにさせる。
「来て。静かなところに行こう。気持ちを洗いざらい話してほしい」
ライはそう言った後に、ヨシの腕をつかむ。
そして、引っ張りながら歩き始めた。
「どこに行くんだよ」
「静かな所って言ってるじゃん。ヨシの車の中とかさ」
「暗い所に行きたい…」
ヨシは、そうつぶやいた後、ライの手を振りほどいて走り出した。
「ちょっと…ヨシ!」
ライはあわててヨシの後を追った。
ヨシが足を止めたのは、段ボールが沢山ある、なにかの路地裏のような場所だった。
「ここなら、誰も来ないでしょ。話さないとやってられない気がするから、話すよ」
そう言いながらヨシは近くにあったボロい脚立に座りこんだ。
「病院送りにするつもりなんてなかったんだよ」
「うん」
「なにから話したらいいか。まぁ、あいつが…カイがなんだか、妬ましくなった」
「・・・」
「歌えなくなった俺の代わり。歌ってくれるの、嬉しかった」
「うん…」
ヨシは、1人短々と語り始める。そんなヨシの話を、ライは今にも流れそうな涙をこらえながら話を聞いていた。
「嬉しかったはずだった。けど、妬ましくなった。自分が勝手に歌えなくなったのにな」
「・・・」
「歌うのが辛くなったのは…自分のせいだってのに。カイには……」
「・・・・・」
「単なる奴あたりだろ…畜生…」
「うん…」
「俺は、妬ましいとか、勝手な奴当たりで、もしかしたらあいつを…歌えなくさしちまったかもしれない」
ヨシは、静かに涙をこぼしながら語り続けている。
「親に謝んないとな…。俺が轢きましたって謝らないと」
「うん。それがいい」
「警察には…どうすればいいか…」
「ちゃんと事情を話しておけば大丈夫だよ、きっと」
ライは、震えながら話すヨシに向かって優しく言う。
ヨシは、ライの言葉を聞きながら、弱々しくうなづいた。
「奴あたりでもなんでも…誤れば大丈夫だよ。兄弟の喧嘩…みたいなものじゃない…?あ、違うかな」

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作者名:Hi-chan | 作成日時:2017年6月27日 16時

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