STAGE～私は君を見つけます～ (ページ6)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:2,123 hit

TEST as LIVE～聞いて、私の歌声を～ページ6

『本当だよ、なに、なんなんだよ』
「喋れなくても性格は一緒だな全く」
『うるせぇな。練習30分しかねぇんだろ』
「そうだな。さ、行って早く練習しましょ――」
「どっち行ってんのよアンタら」
後ろから、ヨシの声が聞こえると、4人は同時に振り向く。
ヨシは、部屋の前で腕を組みながら待っていた。
「部屋はここよ。話に夢中で、話し聞いてなかったでしょう」
「すいません、つい」
キラは、頭をポリポリと掻きながら前に出た。
「全く、早くしなさい？時間は今から３０分よ」
「わかりました。30分ですね。さ、始めよう」
キラは、時計を確認しながらつぶやき、3人に声をかけた。
そして、4人は中に入ろうと足を運ぶ。
キラとユイとアキまで入ったところで、リズムはストップした。
「果たしてホントに、彼女がボーカリストになれるのかしらね」
カイが中に入ろうとした瞬間に、ヨシはそうつぶやきだす。
すると、カイはヨシに鋭い目をして睨みつけた後、苛立ちながらも携帯に文字を打ちつけ、ヨシに見せていた。
「そう？まぁ、期待してるわ。ほら、ユイが待ってるわよ」
ヨシがそう言っているのを完全に無視して、カイは中に入ってきた。
「喧嘩してないで、早くやらなきゃなんですよ」
『わかってる。早くやろう』

あれから、20分。4人はただただ『WING in SIDE』を引き続けていた。
「あと10分ですよー…って――」
ヨシに頼まれ知らせに来たセイだったが、彼らの演奏風景を見て、ピタリと足を止めた。
『僕は君になにをしてやれるんだって悩み悩んでそれでもきっと』
ユイは、気持ち良さそうに歌を歌っていたが、演奏していたほか３人はめちゃくちゃな演奏をしていた。
だがセイは、ライよりも遥かに良いユイの歌声に聞き入り、ただただ演奏が終わるまで部屋の前で眺めていた。
『できるなら僕が叶えてやるよ Ah... I'll grant！』
全てを歌いきった彼らを、セイは優しい目で眺めている。
「あ...セイ先輩」
「あと10分。僕的にはもう待ちきらないから、早くやってほしいんだけどもね」
「え、待ちきれないって...」
「今の状態で完璧な演奏ができるのかってお前らのこと考えたら、もう少し待っててやるから、5分の間で頑張りやがれ。5分前には、ステージの準備してくれよ」
セイは、そうとだけ言い残して、部屋を出た。
－－ヨシ、これはお前が思うよりも遥かに良いステージが見れるかもな。

4人は5分の間、セイの望んでいるような最高の演奏ができるように、演奏した。