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「俺はAのもんやから。」
「…うん。」
「全部。心も体も、俺の全部がAのこと好きって言ってる。
やから…俺の過去も今も未来も、全部Aのもんやから。」
「うん…ありがと。」
そう言って君が後ろからまわされた俺の腕をギュッと掴む。
そんな仕草もまた可愛くて、俺は君の顎に手をかけ振り向かせるとゆっくり唇を重ねた。
「Aは?」
「ん?」
「Aも、俺のもん?」
唇を離してそう尋ねる。
もちろん、気持ちが通じ合ってるのはわかってる。
やのに敢えてこんなこと訊くのは、恥ずかしそうに俺への想いを口にするAが見たいという俺の変態チックな欲望。
やけどその欲望は、寸前のところで満たされずに終わる。
「ただい…あれ?」
玄関の開閉音とともに聞こえてきた彼奴の声。
あぁ…このタイミングで帰ってくるとか…もうホンマ隠しカメラでもつけて見計らってるんちゃうかって話。
「何?どうしたの?」
「これって、」
「あ、廉の靴じゃん。なんで?」
「知らね、俺何も聞いてねーし。」
あれ?海人も一緒なんや。
そういえば紫耀、昨日海人に飯誘われてたっけ。
「あ、そっか!廉Aちゃんと付き合ってんだった!」
「は?今さらそこ?」
「だってツーショットとか全然見ないからさー。」
どんどん近づいてくる2人の声に、君はパッと俺の腕からすり抜けて、
「おかえり。」
と、紫耀と海人それぞれに笑顔を向ける。
さっきの俺との会話なんかまるで無かったみたいに立ち振る舞う君を前にして、俺はおかえりの代わりに大きなため息を吐いて紫耀と海人を迎えた。
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P(プロフ) - ななみさん» 大変有り難いお言葉をありがとうございます。妹だけでなく、紫耀君と廉君の関係性も大切に書くよう意識しているので、そう言っていただけると非常に嬉しいです。まだまだ至らぬ点もございますが、引き続きよろしくお願い致します。 (2019年5月28日 6時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キンプリの仲間の距離感が好きです。紫耀くんの包み込むような優しさ、廉君のひたむきな優しさ。どちらも素敵でドキドキします。続きをお待ちしてます。是非読ませてください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2019年3月7日 20時