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ソファの上、君を俺の肩に寄っかからせて髪を梳く。
テーブルの上には君がいれてくれたココアが２つ並んでいて、お揃いのカップではないものの、それがまた俺の気分を高揚させる。
「あの後ちゃんと寝れた？」
「うん。」
「そっか。今日大丈夫そう？喉の調子悪くない？」
「うん、大丈夫だと思う。」
「じゃあ紫耀もおらんことやし、景気付けにシとく？」
「それ景気付けになるの？」
「なるなる。はい、ベッド行こ。」
やや強引に手を引いて君の部屋へ行こうとすると、チラッと時計を見て苦い顔をする君。
「あ、ごめん…私もう行かなきゃ。」
「え？！Aの出番14時やろ？まだ全然時間あるやん。」
「リハーサルあるから早く行かなきゃいけないの。」
「えーーー…もう…マジかぁ……」
というわけで幸せなひと時はあえなく終了。
紫耀のやつ、自分が出た後すぐにAも出ることわかってたから2人きりにしたんや、絶対！
勝手に抱いた優越感が、倍以上の大きさとなって敗北感に変わる。
「ごめんね？」
「あー…うん、全然大丈夫…
俺もそろそろ帰るし。下まで一緒に行こ。」
強がってAには余裕なフリをしたけれど、トイレの中ふと"まだまだ甘いんだよ"そう言って舌を出す紫耀が頭に浮かんで、
目に入った彼奴のお気に入りのしゃくれた動物フィギュアたちを片っ端からひっくり返してやった。
「じゃあ、今日ホンマに頑張ってな。Aやったら大丈夫やから。」
「うん、ありがと。頑張る。」
「俺紫耀が仕事終わったら合流して観に行くから。」
「うん、気をつけて来てね。」
エントランスでもう一度君に激励をし、抱きしめる代わりにじっと君の瞳を見つめる。
「Aも気つけてな。」
「うん、ありがとね。じゃあ。」
「うん、じゃあ…」
なんでやろ。
なんでか今日は、いつもの何倍も何十倍も君と離れるのが名残惜しく感じた。
数歩進んだところで、振り返って君を見る。
華奢な背中がどんどん俺から離れて、小さくなって、吸い込まれるように地下へ続く駅の階段を降りていく。
もう今さら呼んだって、俺の声は聞こえへんやろう。
今さら呼び止めたって、君は立ち止まらへんやろう。
それでええ。
それでえんや。
覚悟はできてる。
君は今日、未だ見ぬ広い世界へと飛び出して行く。
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P(プロフ) - ななみさん» 大変有り難いお言葉をありがとうございます。妹だけでなく、紫耀君と廉君の関係性も大切に書くよう意識しているので、そう言っていただけると非常に嬉しいです。まだまだ至らぬ点もございますが、引き続きよろしくお願い致します。 (2019年5月28日 6時) (
レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キンプリの仲間の距離感が好きです。紫耀くんの包み込むような優しさ、廉君のひたむきな優しさ。どちらも素敵でドキドキします。続きをお待ちしてます。是非読ませてください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：P | 作成日時：2019年3月7日 20時
