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11時45分、ようやく仕事を終え、帰宅するなり1日の疲れを洗い流すようにシャワーを浴びた。
左手で頭をガシガシと雑に拭きながらテレビをつけると、美味しそうにラーメンを食べる芸人さんの姿。
あー俺もラーメン食いたい。
晩御飯18時すぎに軽くつまんだだけやからさすがに腹減ったしなぁ…
こんな時間やけど、えっか。
ストックしてあるカップ麺の中から、お気に入りのこってり系ラーメンを選び、ケトルで沸かしたお湯を決められた線まで丁寧に注ぐ。
そしてすぐに携帯のストップウォッチ機能で時間を測り始め、ローテブルに割り箸を乗せたカップ麺を運び、ソファにどかっと腰を下ろす。
空腹を嘆く俺の胃袋にとってはたったの3分が待ち遠しくて、なんとか暇を潰そうと再び携帯を手に取る。
ちょうどそのタイミングで表示された、紫耀からのライン通知。
"Aどこにいるか知らない?"
え?
Aがどこにおるかわからへんってこと?
こんな時間に?
至極簡単な文を何度か読み直し、
"知らんけど、どうしたん?
まだ帰ってないん?"
いまいち事態を把握できひんまま一先ずそう返した。
今日はバイト代わってもらったって言ってたけど、まだ帰ってへんってこと?
なんで?何かあった?
会った時は特に変わった様子もなかった。
それどころかこれから訪れるであろう未来に不安を感じてる俺に、
「離れないよ。離れたくないもん。どんな環境であっても私には廉君が必要だから。」
そう言って優しく微笑んでくれた。
ピコン。
今の気分に似つかわしくない軽快な音で、頭の中思い返していた今日の君が消える。
"帰ってこない。LINEも返ってこないし電話もでない。"
紫耀からのそのメッセージの下に表示されている時刻は0時19分。
俺の失態を除いたら、今までAは紫耀との約束である門限を破ったことなんかないのに。
紫耀と喧嘩でもした?
明日の学園祭、やっぱり出るの嫌になった?
それとも俺…なんかした?
わからん。
全くわからへん。
"どこにおるん?"
俺からもAにそう送ってみたけど既読にはならず、紫耀が言っていた通り電話にも出ん。
「もう…何してんねん…」
待ち遠しかった3分はとっくに過ぎた。
でも俺は出来上がったラーメンなんてそっちのけで家を飛び出し、紫耀のところへ向かった。
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P(プロフ) - ななみさん» 大変有り難いお言葉をありがとうございます。妹だけでなく、紫耀君と廉君の関係性も大切に書くよう意識しているので、そう言っていただけると非常に嬉しいです。まだまだ至らぬ点もございますが、引き続きよろしくお願い致します。 (2019年5月28日 6時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キンプリの仲間の距離感が好きです。紫耀くんの包み込むような優しさ、廉君のひたむきな優しさ。どちらも素敵でドキドキします。続きをお待ちしてます。是非読ませてください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2019年3月7日 20時