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「無理やで。」
「え?」
「春日A。俺あの子の彼氏知ってるから。」
ホンマは俺が彼氏やって、
Aは俺のやって、
そうはっきり言ってやりたい。
「あー…いるらしいですね。」
でも立場上かなりのリスクを伴うことは間違いないし、
俺だけじゃなくてAにまでそのリスクを背負わせることになるのも目に見えてわかってる。
そうなると俺が此奴に言えることは限られてて、
「その彼氏、俺が知る限り最高のイケメンやし、お互い相当惚れ込んでるみたいやから付け入る隙なんか1ミリもないと思うわ。今すぐ諦めて他あたった方がええで。」
彼氏であることを暴露したい気持ちを抑え、なんとか軽い牽制程度に留めるしかなかった。
やけど、
「へぇ……そうなんすか……でもまぁ長期戦になるとは思ってたんで、地道に頑張ります。」
サエキは苦い顔をしながらも予想外にポジティブな反応を示すから、俺は思わず語気を強めてこう言った。
「いやだから頑張っても無駄やって!!」
そしてそのまま取り繕うように、目を見開いて立ち尽くしているサエキの肩に腕を回し、精一杯親身になったフリをする。
「ごめんな?俺もこんなこと言いたくないんやけど、でも見込みのない恋愛って辛いだけやん?
待ってても別れへんと思うし、新しい相手探した方がええって。
大学生活短いんやで?長期戦なんかしてたらあっという間に青春終わってまうで?そんなん嫌やろ?」
「まぁ…そうですね……」
「うん、そうそう。絶対そう!あの彼氏には勝てへんと思うわ。
ってことで、ホンマにやめとけよ?」
「………はい…」
「ん、わかってくれたならえんや。じゃあ俺行くわ!バイト頑張って。」
吐き捨てるようにそう言って、背中に感じる痛いくらいの視線から逃げるように早足で歩き出す。
ちょっとやりすぎた…か?
つい勢いで途中からタメ口になってもたけど、向こうは同い年でも敬語使ってくれてたし…
しかも初対面やし…やりすぎた感は否めへん。
いや、でも!
あれくらいはっきり言わな伝わらんやろ、ああいうポジティブ野郎には。
うん、あれで良かった。
ホンマに諦めるかどうかはわからんけど、牽制としては効果抜群なはずや。
そうやって抱いてしまった罪悪感に無理矢理蓋をしながら歩いていると、
「廉くん!」
反対側の歩道で俺を呼ぶ君の声がした。
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P(プロフ) - ななみさん» 大変有り難いお言葉をありがとうございます。妹だけでなく、紫耀君と廉君の関係性も大切に書くよう意識しているので、そう言っていただけると非常に嬉しいです。まだまだ至らぬ点もございますが、引き続きよろしくお願い致します。 (2019年5月28日 6時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キンプリの仲間の距離感が好きです。紫耀くんの包み込むような優しさ、廉君のひたむきな優しさ。どちらも素敵でドキドキします。続きをお待ちしてます。是非読ませてください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2019年3月7日 20時