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「廉くん…どうしたの?」
「ん?なんもない。ただこうしたかったから。」
「そっか…」
「うそ。ごめん。歌詞、見てん…
ごめん、勝手に…」
「え…?あ、ううん…いいよ。置きっ放しにしてたの私だし。」
「違ってたらメッチャ恥ずいんやけど…あれって…俺のこと書いてくれた?」
「…」
「"君の寝息にギター合わせたり"のとこ…」
一旦体を離し、真っ直ぐに君を見つめてそう訊くと、君は気まずそうに俯いて数回瞬きをした後に小さく頷いた。
そしてすぐに俺は君の髪をひと撫でして唇を塞ぐ。
人づてに自分の良い評判をきくと、直接褒められた時よりももっとリアルな感じがして嬉しい。
それと同じで、歌詞を通して向けられた俺への想いは、飾らない君の心の声そのものな気がして、
俺たちが確かに同じ気持ちで繋がっていることを実感した。
「なんか…メッチャ嬉しい。」
だからもっと、
もっともっと君と深く強く繋がりたい。
心も体も全部。
「なぁ…A…」
含みを持たせて君を呼ぶ。
俯いていた君がゆっくり顔を上げ、じっと俺の目を見つめて次の言葉を待っている。
どう切り出そうか…
Aとは、成り行きに任せて…なんて適当なことはしたくない。
独りよがりな行為はしたくないし。
やからちゃんと、確かめる必要がある。
君が俺の全てを受け止めてくれるかどうか。
それが今なのかどうか。
「あんさぁ………したいんやけど、ええ?」
"したい"
それが何を意味するかなんてのは、なんぼ鈍感なAでもさすがにわかったようで、
耳を赤くしてわかりやすく照れると、
「いいよ…」
か細い声でそう言った。
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P(プロフ) - ななみさん» 大変有り難いお言葉をありがとうございます。妹だけでなく、紫耀君と廉君の関係性も大切に書くよう意識しているので、そう言っていただけると非常に嬉しいです。まだまだ至らぬ点もございますが、引き続きよろしくお願い致します。 (2019年5月28日 6時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キンプリの仲間の距離感が好きです。紫耀くんの包み込むような優しさ、廉君のひたむきな優しさ。どちらも素敵でドキドキします。続きをお待ちしてます。是非読ませてください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2019年3月7日 20時