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「私決めた。
学園祭で歌う！」
歌い終えた途端、急にそんなことを言い出す君に、俺と紫耀は顔を見合わせて驚く。
もちろん、無謀やなんて思ってへん。
去年大学の友達には内緒でチラッと学園祭を覗いたけど、Aやったらステージで歌っても全然おかしくないし、歌手目指すんやったら名前を知ってもらえるええ機会やとも思う。
でも、
「なんで急に…？」
まだ一年で部活にもサークルにも入ってへんAが、夏休みのこの時期から学園祭のことなんか意識する？
友達に聞いたりした？
いやでも、俺Aが友達とおるとこ見たことないし、
紫耀も前に"友達はつくらないって言ってる"みたいなこと話してたし…
「佐伯君がね、有志の枠があるから出てみたらって勧めてくれたんだ。
その時はギター弾くのも歌うのも辛くて、そんなこと考えられなかったんだけど、
こんなに素敵なプレゼントもらったから、出てみたくなっちゃった。」
ほー、それは嬉しい。
「スゲーいいと思う！俺絶対見に行く！」
紫耀も喜んでる。
やって俺らのプレゼントがええキッカケを作ったってことやろ？
そらなら本望やわ。
やけど…待て。
今何て言った？
最初…何て言った？
「ちょっ…ちょっと待って！サエキクンって誰…？」
落ち着け、俺。
冷静に、冷静に。
早とちりは良くない。
サエキクンって言うあだ名の女の子かもしれへんやん。
「佐伯隼人君。バイト先にいる大学の先輩。学園祭の実行委員やってるんだって。」
出たーーーーーーー、バイトの先輩！！
ほらぁ…だからバイトなんか辞めて欲しかったんや。
もう…俺ホンマそーゆーの無理…
絶対下心あるし！
学園祭を口実にしてAに近づく気やん。
実行委員っていうと堅く聞こえるけど、そんなんただのお祭り好きのチャラい野郎やし！
「学園祭は…辞めた方がえんちゃう…？」
神様、どうかお許し下さい。
「え…なんで？」
「ん？あー…ほら…ガラ悪い奴らもおるからさ…」
どうやら俺は夢を追って欲しいと言いながら、私的感情で彼女の足を引っ張ろうとする酷い男みたいです。
つづく
ーーーーー
ここまでお話を読んで下さりありがとうございます。3も引き続きよろしくお願い致します。
評価・コメント等いただけると大変嬉しいです。
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
