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迎えた君の誕生日当日。
仕事を終えた俺は、君にプレゼントを渡すため紫耀の家に来ていた。
「うわ！大っきい！」
「デカっ！こんなに食べ切れねぇだろ！お前もっと考えて選べよ？！」
「ええやん！大は小を兼ねるって言うし。」
「は？なんだそれ。」
「…お前それでよう21年生きて来れたな。」
「るせっ！」
ガヤガヤと俺が選んだインパクト重視の巨大二段ケーキに19本の蝋燭を立て、それを君が嬉しそうに写真に収める。
そしてコンビニで仕入れた安物のライターで火を点け、電気を消す。
「ハッピーバースデー！」
「おめでとう！」
火を吹き消した君に盛大な拍手を送った後、
打ち合わせ通り、明かりを点ける前に紫耀がソファの下に隠しておいたギターを、そっとテーブルに置いたのを確認して、電気をつける。
「ありが」
君はそこまで言って、目の前に置かれた物に気づき絶句する。
「これ、俺と紫耀から。もう何かわかってると思うけど、開けてみて？」
「え…私に…？」
「うん、Aしかおらんやん。」
「このプレゼント先に思いついたの俺だから。」
「おいっ！お前まだそれ言うかぁ？！」
あの後、
"自分のプレゼント選ぶのに二人が揉めてるって知ったら、Aちゃん嬉しくないと思うけど。"
ジンにもっともなことを言われた俺と紫耀は、渋々二人でギターをプレゼントするという結論を出した。
「どう…？俺らあんまり詳しくないから、ジンに教えてもらって選んだんやけど…」
ケースを開けて、じっとギターを見つめる君の表情がみるみるうちに歪んで、ポツリポツリと涙が落ちる。
「え？！あ、ごめんっ…余計なお世話…やった？」
「A？俺も廉もAに無理させようなんて思ってないんだ。
弾くのが辛いって思うなら弾かなくていいし、そんな重く受け止めなくていいから。な？」
俺も紫耀も泣き出した君に焦って、慌ててそう取り繕ってみたけど、君の涙は止まることなく、両手で顔を覆って嗚咽を漏らし始める。
「どーすんだよ…廉がギタープレゼントするとか言うからだぞ！」
「はぁ？！さっき『俺が先に思いついた』とか言うてたの誰やねん！」
すると、聞こえないようコソコソ小突き合っている俺たちに、
震えた声で君がこう言った。
「違うの…嬉しくて…嬉しくて涙が出てくるの…」
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
