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あぁ…
やっぱり…やっぱりそうか…
「え、なに？紫耀も廉もAちゃんのプレゼントにギター買おうと思ってたの？
なんだ。二人して急にギター買うとか言うから変だなと思ったんだよね。そういうことか。」
一人納得してスッキリした様子のジンとは対照的に、俺は失意のどん底に落ちたような気分やった。
考えて考えて、これしかないって思いついたプレゼントやったんやけどなぁ。
"身に付ける"
そのワードで思い浮かんだ、Aの背中にいつもくっついていたギター。
そのギターは今では触れられもせず、部屋の隅にポツンと置かれている。
"ギター弾くのも歌うのも苦しくなっちゃって…"
あの日俺は、弾きたい君と弾けない君の葛藤を目の当たりにした。
俺はそんな君に、新しいギターを贈りたい、そう思ったんや。
父親から貰ったギターを弾くのが辛いと、夢に一歩踏み出せずにいる君に、新しいギターを。
もう取り戻せへん過去を思い出して苦しまへんように。
過去に囚われずに前へ進めるように。
君に、期待と希望に満ちたまっさらなギターを。
「真似ちゃうしっ！言っとくけど俺の方が先にここ来たんやぞ！」
そんな想いが、まさかこのタイミングで紫耀と丸被りするとは…
「来たのは俺の方が遅いかもしんねぇけど、俺は一昨日からプレゼントはギターだって決めてたんだよ！」
「俺かってそうやし！お前は兄貴なんやから今までも色々プレゼントしてきたやろ？！
俺は初めてなんやから譲れや！」
「は？！そんなわけいくかよ！
そもそもお前は俺が教えなきゃAの誕生日が明日だってことも知らなかっただろ。
つべこべ言ってねぇで黙って違うプレゼント探しに行け！」
「行くわけないやろ！
俺はちゃんと自分で下調べもしてここ来とんねん。
ジン連れてきて人頼みのお前は、そこのヴァイオリンでも買って『ギターと間違えちゃった』って舌でも出しとけ！」
イライラを抑えきれず、すぐ側にあったヴァイオリンを指差してそう言うと、
「はぁ？残念。これはヴァイオリンじゃなくてヴィオラですー。下に書いてありますけどぉ？」
紫耀は俺の苛立ちを煽るかのように嫌味ったらしく揚げ足をとってくるから、
「ダルっ！ジン、もうホンマ此奴ダルいんやけど。」
俺は堪らず、言い争う俺たちを傍観しているジンに助けを求めた。
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
