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「なぁ…」
「ん?」
「…なんで俺には連絡くれんかったん?」
考えたって上手い言い回しなんか思いつかんくて、
結局なるべく優しい口調でストレートにそう訊いた。
「え…?あ、ごめん…
紫耀から聞くと思って…」
君はキョトンとした顔でそう答えると、不機嫌全開な俺の表情を見て、ばつが悪そうに目を逸らす。
「あんさー…今日はたまたま一緒やったけど、俺らいっつも一緒に仕事してるわけちゃうんやで?」
「あ、うん…そうだよね…」
「ていうか一緒やったとしても、紫耀には紫耀、俺には俺でちゃんと連絡して?」
「…うん、本当ごめんね。これからはちゃんと連絡する。」
「ホンマに?」
「うん、本当に。」
「絶対やで?もう同じこと言わせんといてよ?」
そう念を押すと、君は寝転んだまま唇をキュッと閉じて、こくこくと力強く頷く。
悔しいけどそんな姿も可愛くて、一気に湧き上がってきた"触れたい"という思いに、さっきまでの苛立ちがスーッと遠ざかっていく。
「なんかごめんな…
俺、Aに必死やからさ…」
そう言ってそっと頬に触れると、首を左右に振りながら恥ずかしそうに目を伏せる。
急にこの部屋の空気が変わったような気がするのは、単に俺が君を意識し過ぎてるからやろう。
窓の向こう、遠くからわずかに聴こえるパトカーのサイレンが、俺たちが今ここで二人きりであることを強く意識させる。
「あーもー…襲ってまいたい…」
精一杯理性を働かせたうえで、顔を両手で覆いながらため息混じりに放ったその一言に、君は少し間を置きクスッと笑う。
「笑ってる場合ちゃうやろ。はよ風邪治して?
もっとくっついたりとか…したい。」
「うん。私も…だよ?」
熱のせいなのか照れているのか、頬を赤く染めた君が、そう言って真っ直ぐに俺を見つめて微笑む。
「…今その顔はズルいわ。」
"恋する表情"とでも言おうか、付き合う前には見られなかった君のその表情に、
理性なんてものはもうどうでもよくなってしまいそうな程、愛しいという気持ちが溢れてきて、
「アカン…ホンマ襲ってまいそう…
ごめん…ちょっと頭冷やしてくる。」
俺はそう言い残して足早に部屋を後にした。
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作者名:P | 作成日時:2018年9月19日 22時