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すぐ向かうって…
心配なんはわかるけど、小っちゃい子供じゃあるまいし…過保護すぎちゃう？
それとも何？俺じゃ頼りないってこと？Aのこと任せられへんってこと？
紫耀が医者ならまだしも、そうじゃないんやから出来ること俺と変わりないやん。
そんな不満を抱きつつ、Aの様子をみておこうと、そっと寝室に入った。
ドアの隙間から漏れるリビングの明かりを頼りに、布団に顔を埋めるようにして眠るAを遠慮がちに覗く。
せっかく寝れてるんやし起こさんようにと、額ではなく手首を軽く触って熱を確認する。
まだ熱い。
薬、効いてないんかな？
朝になっても下がってなかったら病院行った方がええやんな。
明日仕事午後からやし、うん、俺病院連れて行ける。
そんなことを考えていると、インターホンが鳴り、紫耀が来たことを知らせる。
ほんまにすぐに家を出たんやろう。電話を切ってからまだ10分も経っていない。
モニターを確認して返事をすることなくオートロックの解除ボタンだけ押し、しばらくすると今度は玄関のインターホンが鳴った。
「熱どのくらいあんの？」
玄関を開けるなり、すぐにそう聞いたかと思えば、ずかずかと家に上がってきた紫耀。
「ここ来た時は38度8分。薬飲ませたけど、さっき手触ったら全然熱かったからまだ…ってちょっ！寝てるから！」
答えている途中で、いきなり寝室に入って思いっきり電気をつけるもんやから、俺は慌ててもう一度暗くする。
まだ寝かせといてあげたい。
寝顔が見たいとかそんなんじゃなくて、体のためにその方がええやろ。絶対。
やのに紫耀は、
「連れて帰る。下にタクシー待たせてあるから。」
そう言って布団を剥がし、寝ているAをそのまま抱き上げようとする。
「はぁっ？！せっかく寝てんのやからええやんそのままで！」
「鍵がないからここに居たんだろ？俺が帰って来てもう入れるんだから、家に帰って当然じゃん。」
「そういうことじゃなくて！！今A具合悪いんやで？朝まで寝かしといたったらええやん！体のこと考えてるん？連れて帰りたいだけやろ、紫耀は。」
「は？！お前だってどーせちょっとは下心があってA家にあげたんだろ！」
そしてこのまるでAの取り合いのようなやりとりを繰り広げているうちに、当の本人が目を覚ましてしまった。
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
