俺と彼奴とシンデレラ２ (ページ15)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:41,173 hit

15 ページ15

「裾引きずっちゃう。廉君足長いね。」

そう言いながら着替えを済ませ、メイクを落とした君がリビングへ戻ってきた。

君の言う通り、足の甲まで覆い被さったズボンから、淡いピンク色のネイルを施した足が覗いている。

「そもそも背が違うやん。
A、スッピンやとちょっと幼く見えるんやな。」

「えー、そこは『変わらないね』とかじゃないの？」

「いや、やっぱちょっとは違うやん？」

「そうだけど…」

「でもどっちも可愛いで？」

「本当にそう思ってる？」

「思てるよ！ホンマに可愛いもん。目元が紫耀に似てる。

…彼奴は可愛くないけど。」

俺がそう付け足すと、紫耀みたいにクシャっと目を細めて笑う君。

あれ？

タクシー乗ってる時より辛そうじゃないし、こんなに笑ってるってことは、もしかして熱下がった？

うっそ。

もしかしてソファでまったり映画とか観れる感じ？！

おうちデート的なっ？！

…

「38度8分。

…めっちゃ高いやん。」

俺の期待も虚しく、一人暮らしを始める際に母親が用意してくれた体温計に表示されたのは、平熱と懸け離れた数字。

「ごめん、俺無理させたやんな…」

なんで今日会いたいって言ってもたんやろ…

知らんかったから仕方ないにせよタイミング悪すぎやろ、俺。

「ううん…私の方こそ迷惑かけてごめんね。」

あーほら、また迷惑とか言い始めた。

迷惑なんかじゃないのに。

「まーたそれ言う。Aのこと迷惑に思うことなんかないから、ホンマに。

でもまぁ…強いて言うなら…」

「なら…？」

「せっかく二人きりやのにイチャイチャできんのはちょっと迷惑、かな？」

俺の一言一言に反応して表情を変える君が可愛くて、ついつい余計なことを言ってしまうと、君は恥ずかしそうに目を逸らし布団に潜ってしまう。

「おーい、Aさーん、出ておいでー？」

俺はそう言うと、君の返事を待たずに布団を少し捲って額にキスをした。