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「おい、廉っ！最後ちょっと遅れてたぞ。」
「え？あ、ごめん…」
二日後に会った紫耀は、あの日の疲れた様子なんか微塵も残ってへんかった。
むしろやる気が漲ってるというか、気合が入ってるというか…
「廉、もうちょい右。」
「そこちょっと手の角度が違うんだよなぁ。」
いや…
俺にやたら厳しい？気がする…
「お前もっとガッツリしたもの食えよ。ほっせーんだから。」
朝からずっとこんな感じで、何かにつけて絡んでくる。
「聞いてんの？」
「聞いてるけど…」
最初は紫耀がこんなわかりやすく苛立ってるとか珍しいなぁって思ってたけど、
「けど何だよ？聞いてるんだったらちゃんと返事しろよ。」
俺かってそろそろ我慢の限界やわ。
「お前なんか今日やたら俺に当たり強くない？」
Aと何かあった？
でもAは"紫耀とちゃんと話せた"って、"もう隠し事はなしって約束した"って、LINEくれたし。
紫耀かってあの時、俺がおって良かったとか嬉しいこと言うてくれてたやん。
「べっつにー。」
やのに今更何やねん。
「何なん？言いたいことあるんやったら、はっきり言えや。」
不穏な空気にオドオドする岸君を横目に、俺は紫耀に凄む。
けれど紫耀は怯むことなく一歩前へ出たかと思うと、思いっきり眉をひそめてこう言った。
「解毒剤。」
ゲドクザイ？
「は…？」
何言ってるん？
「よこせよ。」
どういうこと？
「意味わからんし。」
何が言いたいんかさっぱりわからんのやけど。
「俺、お前がAの傷を癒す薬になってくれたのかと思った。でも大間違いだった。
とんでもない猛毒を仕込んでくれたみたいだな。」
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
