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初めて君を抱きしめた。
指先に触れる君の髪はさらりと綺麗で、ええ匂い。
シャンプー？ヘアコロン？
何かわからんけど、爽やかでほんのり甘くてええ匂い。
でも、落ち着かん。
俺、ドキドキしっぱなし。
アイドルやからかな？
それとも紫耀の妹やから？
なんか悪いことしてるみたいで、余計にドキドキする。
「ごめんなっ…」
照れてる顔を見られたくなくて君を抱きしめたけれど、
結果、もっと照れただけやった。
「ううん…」
気まずい。
こんな時に限って、あんなに煩かった蝉たちは揃いも揃って静まり返る。
でも、ここは俺が、
俺がどれだけ普通でおれるかが、何より大事。
これまで告白した時も、告白されて気持ちに応えられへんかった時も、今まで以下の関係になるのだけは嫌で、何とか気まずくならんように頑張ってきた。
やから、ここは俺の頑張りどころ。
「腹、減ってへん？俺コンビニでなんか買ってくるわ！」
「…お腹は空いてるんだけど、今日紫耀にカレー作ってってお願いされてて…
一人暮らしの話も進めたいし、そろそろ帰らなきゃ…」
「あー…そっか。ほんじゃ一緒にタクシー乗って帰らへん？同じ方向やし。」
「でも…いいの…？」
「全然ええよ！むしろその方が嬉しいし！」
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらうね。」
良かった。
普通でおろうとする俺の頑張りを、君が認めてくれたみたいで。
君も俺と同じように、普通でおろうと頑張ってくれてるみたいで。
うん、良かった。
窓を閉めて、靴を履く。
俺が先で君が後。
早急に靴を履いたら、君が出るのを扉を押さえて待ったりなんかして。
こういうことが無意識にできればええのに、カッコつける気満々な俺は、まだまだ子供なんかな。
ううん。
たぶんそれだけ君が好きってこと。
「タクシーもう下に呼んであるから、A先に乗ってて。」
「うん、わかった。」
君の背中を見送った後、俺はしっかりと玄関の鍵を閉める。
子供の頃、ほんの数年家族で暮らしたなんでもないこの部屋が、
今になって特別な場所に思える。
そう、まるで秘密基地みたいに。
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P(プロフ) - ふみなさん» ありがとうございます。励みになります。頑張りますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年9月11日 21時) (
レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ふみな(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年9月11日 21時) (レス) id: 5163432d21 (このIDを非表示/違反報告)
P(プロフ) - ランタンさん» 有難いお言葉ありがとうございます。そう言って下さると本当に嬉しいです。引き続き頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2018年8月4日 17時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン - あんまり廉くん主人公を読んだことがなかったです。でもこの物語とっても面白かったです。これからも更新頑張ってください！ (2018年8月4日 13時) (レス) id: bdde880c20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：P | 作成日時：2018年8月2日 0時
