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【紫耀】








大通りを曲がり、


周りが静かになったのを見計らって、俺は訊いた。









「今日、なんで泣いたの?」








「え?」








Aは俺に気付かれていないと思っていたのか、立ち止まって驚いた。









「目、見ればわかる。」









気付いてた。







気付いてたよ。








Aの顔を見てすぐに。








「何があった?」







正面から覗き込むようにして、なるべく優しく訊いてみる。









けれど、Aは困惑した様子で、何も言わずに俯いた。









「わかった、じゃあ質問変える。



誰のせいで泣いた?」









そう訊き直しても、やっぱり黙り込んだままで、









「何?なんで言えない?」








仕方なく問い詰めるように言ってみれば、








「言いたくない…」








ようやくなんとか聞き取れるくらいの小さな声で、そう答えた。









「ダメ。

俺が気付いた以上"言いたくない"はナシ。」









Aには世界を広げて欲しいと思っている。







その気持ちに嘘はない。









たくさん友達をつくって、思い出す度つい笑ってしまうような、何にも代え難い思い出を作って欲しい。








それが人生の糧になるって、俺は思うから。









だけど、








これは俺の、




我儘な兄の単なる押し付けでしかないけれど、









やっぱり、その世界には、









ちゃんと俺も関わっていたいんだ。









Aが傷付きそうな時は俺が守るし、



泣きそうな時はとんでもないバカなことして笑わすからさ。









「じゃあ、これだけ答えて。




一人で泣いてた?




それとも…誰か慰めてくれる人が、いた?」









いつかお前に一生誠実でいてくれる奴が見つかったら、








その時は、









俺の知らない、其奴と二人だけの世界を持たせてあげるから。









「…いたよ。」









そう小さく呟いたAの目に、



今にも溢れそうなほど涙が溜まっているのがわかって、









「…そっか。わかった。ならいい。

帰ろ。明日も学校あるんでしょ。」









俺は話を早々に切り上げると、くるりと背を向けまた歩き出した。








もちろん頭の中は、



頑なに友達はつくらないと言っていたAに、慰めてくれる奴がいるって…どういうことだ?



男?女?




いつの間にそんな奴ができたんだ?





そんな疑問ばかりが渦巻いていた。

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設定タグ:King&Prince , 永瀬廉 , 平野紫耀   
作品ジャンル:タレント
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P(プロフ) - ふみなさん» ありがとうございます。励みになります。頑張りますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年9月11日 21時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ふみな(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年9月11日 21時) (レス) id: 5163432d21 (このIDを非表示/違反報告)
P(プロフ) - ランタンさん» 有難いお言葉ありがとうございます。そう言って下さると本当に嬉しいです。引き続き頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2018年8月4日 17時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン - あんまり廉くん主人公を読んだことがなかったです。でもこの物語とっても面白かったです。これからも更新頑張ってください! (2018年8月4日 13時) (レス) id: bdde880c20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:P | 作成日時:2018年8月2日 0時

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