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"俺のことより自分の夢を大切にしろよ"
それは紫耀に、
"俺より母親を優先しろ"
そう言われることを恐れている君にとって、
これ以上ないほど怖い言葉やったんかもしれへん。
「うん、俺もそう思う。Aちゃんは紫耀の妹としてじゃなくて、Aちゃんとして自分の夢を追うべき。」
ジンが紫耀に続くようにそう諭すと、
「冗談だよ…冗談！
私なんか…特別歌が上手いわけでもないし。
歌手になりたいなんて思ってないから、本当に。」
顔を上げた君は、振り絞るようにそう言って、力なく笑った。
「まぁ、まだ大学入ったばっかなんやし、
そのうちやりたい事も見つかるって！
就職してからホンマにやりたい事に気付く人もおるっていうし、今のうちから悩まんでもええって！」
的外れやったかもしれないけれど、
俺はこの重くなった空気をなんとかしようと、精一杯明るくそう言った。
でも、
「確かに。」
「まぁ何であれ俺は応援するから。」
君はすぐにその流れに乗ってくれるジンと紫耀とは違って、
下を向いて虚ろな目をしていた。
両親との間に居場所がなくなった君にとって、
紫耀は、
唯一の逃げ場で、
その逃げ場こそが、
今の君にとっての希望で。
その希望を失ってしまったら、君は一体どうやって夢を追うんやろう。
俺に何ができる？
励ましたってあかんやろ？
傍におるだけやったらあかんやろ？
どうやったら、
どうやったら、
君の逃げ場が、
君の希望が、
俺になる？
「じゃあお疲れー。」
「あれ？紫耀タクシーちゃうん？」
「歩き！家すぐそこだから。こないだ引っ越したんだよ、Aと住むにはちょっと狭かったから。」
「へぇー…そうなんや。俺ら結構家近いんやな。」
「てことでなんかあった時は頼む！」
「お前それよう言うけど、なんかって何やねん。」
「知らん！あ、青になった！じゃあっ！」
当たり前のように君のギターを背負う紫耀と、
その少し後ろを歩く君。
後ろを振り返って君を待つ紫耀と、
そこに駆け寄る君。
ようやく並んで歩き始めたと思ったら、赤信号で止まる二人。
俺はそんな二人の後ろ姿を見ながら、
一人なかなか歩き出せずにおった。
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P(プロフ) - ふみなさん» ありがとうございます。励みになります。頑張りますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年9月11日 21時) (
レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ふみな(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年9月11日 21時) (レス) id: 5163432d21 (このIDを非表示/違反報告)
P(プロフ) - ランタンさん» 有難いお言葉ありがとうございます。そう言って下さると本当に嬉しいです。引き続き頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2018年8月4日 17時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン - あんまり廉くん主人公を読んだことがなかったです。でもこの物語とっても面白かったです。これからも更新頑張ってください！ (2018年8月4日 13時) (レス) id: bdde880c20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：P | 作成日時：2018年8月2日 0時
