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「廉、この後空いてる?」
「なんで?」
「飯行けるかなぁと思って。後でジンも来るって。」
当然やけど、仕事場に行けば今日もいつも通りの紫耀がおって、
「あー、うん、行く。」
俺も必死で何事もなかったように装ってみるけど、
「今日はAも誘ってあるから!」
君の名前を聞くと、俺はやっぱり普通ではおれんくて、
「え……あー、ごめん。
俺やっぱり今日あかんわ。レポート書かなあかんねん。」
こんな取って付けたような嘘をついて、あたかも急いでいるみたいに手早く荷物をまとめる。
「えー…何それ。
最近廉君はレポートレポートばっかりだな。」
「しゃーないやろ、留年したないねん。」
「せっかくAと廉が仲良くなれる機会だったのに。」
「…別に俺と仲良くならんでも友達くらいおるやろ。」
「と思うじゃん?!
でも彼奴『友達はつくらないって決めてる』とか言って、全っ然遊びに行ったりしないんだよ!」
あぁ、そういえば、
俺は君が誰かと一緒にいるところを見たことがない。
俺が見る君は、いつも一人であの桜の木の陰におった。
でも、それは今日までの話。
「毎日毎日学校と家の往復だからさ、友達つくって世界を広げてほしいな〜なんて思ってるわけよ、兄としては。
廉と仲良くなれば、廉の友達とも仲良くなったりするわけだし。
なのに廉君はレポートレポートレポート…」
紫耀はわざと嫌味ったらしく俺に向かってそう言うけれど、
つい数時間前まで君といたことを言えない俺は、
紫耀が知らない君を知ってしまった俺は、
「ホンマに今日は無理なんやって。」
こうして逃げるという選択肢しか思いつかなかった。
紫耀。
お前が望んでる形ではないかもしれんけど、
あの子はちゃんと自分の世界を持ってるんやで。
紫耀の知らんところで、あの子の世界は広がってるんやで。
でもそれは、
あの子の世界は、
苦しそうで、寂しそうで、
どうにかならへんかなって、
俺が何かできたらって、
君の話を聞いてから、俺の頭の中はそんな気持ちでいっぱいやった。
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P(プロフ) - ふみなさん» ありがとうございます。励みになります。頑張りますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年9月11日 21時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ふみな(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年9月11日 21時) (レス) id: 5163432d21 (このIDを非表示/違反報告)
P(プロフ) - ランタンさん» 有難いお言葉ありがとうございます。そう言って下さると本当に嬉しいです。引き続き頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2018年8月4日 17時) (レス) id: 6d17b4bef7 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン - あんまり廉くん主人公を読んだことがなかったです。でもこの物語とっても面白かったです。これからも更新頑張ってください! (2018年8月4日 13時) (レス) id: bdde880c20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2018年8月2日 0時