…カラフル… ～Donghae～ (ページ3)

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声をかけられるページ3

「いらっしゃいませ」

今日もまた同じことの繰り返し。

朝起きてご飯を食べて、スーパーに出勤。

夕食を買い物中の奥様方と楽しく会話しながらレジ。

この頃はカゴの中を見て、この人の家は今日はカレーだ～とか、

献立を考えるのはお手の物になっていた。

お昼を過ぎたころ、休憩室でマネージャーに声を掛けられる。

「Aちゃんさ、社員にならない？」

「あー…考えておきます」

「前向きにね、頼むよ」

仕事ぶりを評価されて何度かお誘いを受けるけど、

まだ夢を諦めきれてないのかな…踏み出せないでいた。

あのころは芸能人とか華やかな世界に憧れていて、

なにか決まってるわけでもなく、大学卒業後に上京。

でも結局今に至るわけで…。

「はぁ…」

とため息の後、ハッとして周りを見渡した。

危ない危ない…仕事中にため息なんて。

誰もいないことを確認して、また品出しをする。

「あの…」

「はい、お客さま」

すると少しオドオドした人に声をかけられて、

パッと顔をあげるとその人は怪しげなサングラスに手には買い物メモであろうものを握っていた。

「な、な、な…？」

「な？」

「ナツメグって…なんですか？；；」

ああ、料理しない人はきっと分からないよな、って思って。

きっとこの人は一生懸命店内を探したけれど分からなくて、

仕方なく声をかけたんだなって思ったら…。

なんだか格好とミスマッチすぎて少し笑ってしまった。