▽目撃 3 ページ49
＊
深澤side〉
まさか、付き合っていたなんて。
現在進行形じゃなく、過去形。
俺らには、まだまだ知らないことが多すぎる。
全てを知る必要はないけど、少しでも知っていたらAの気持ちを楽にできたのではないか。
なんて自分を責める。
深「後悔はないの？」
『ないって言ったら嘘になるけど、これが私たちには適切だったんだよ』
悲しそうに笑うA。
深「本当にそれで良いの？」
どうしても、俺は納得がいかなくて聞いてしまった。
『何かに縛られるのはイヤ。
付き合うならデビューしてからの方が良いんじゃないかなって。
付き合ってた頃と今じゃ立場が全然違う。
だからこそ、恋愛なんてしてる場合じゃない。
ちゃんと2人で話し合って、別れたから大丈夫』
彼女はどれだけのことを我慢して、今まで生きてきたのだろう。
俺には、一生、理解できない。
だから、幸せになってほしいし、幸せにしてあげなきゃいけないと思う。
メンバーとして。
メンバーって、大切な家族みたいなもんだから。
深「何かあったら、俺に相談してよ」
『ありがと。ふっか』
優しく微笑む君は、太陽のようで月のようだった。
＊
遅れて、照が到着。
しんみりした空気に「どうした？」なんて聞いてくるけど、Aが明るく「なんでもなーい」というから、俺もそれに乗る。
岩「無理はすんなよー」
『わかってる〜。今日も飲みまーす』
深「ほどほどに」
『もー、そんな子供じゃないっての』
なんて言いながら、ビール3杯目に突入したAを見て、酔わないことを祈りながら、飲んだのだった。
まあ、相変わらず強くて、心配するほど酔ってなかったけど。
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