▽母が来ると ページ46
.
いやーな予感がする。
人間、嫌な予感ほど当たるもので。
楽屋のドアの前では普段はいない人がいる。
『いや、なんでいんの』
「母親に対してそれは失礼じゃない？」
『はいはい、すいませんでしたー』
反抗期か、というくらい母とは顔を合わせると喧嘩ばかり。
この間の8.8のとき、ライブに来てくれたけど、楽屋には来ないし。
まあ、来たら来たで身長ちっちゃいから気がつかない可能性高いけど。
母「あのねぇ！？」
『何。連れ戻そうとする気？それなら帰って』
母「よく喋ること」
『誰のせいですかー』
売り言葉に買い言葉。
一生終わらないエンドレスゲーム。
常にこの言い合いは母がいると続くんだな、これが。
それが嫌でホテル泊まれってよく言っている。
『で、なんの用』
母「そろそろアイドルなんかやめて、会社継がない？」
『無理、いや。
ということで、お帰りください。
デビューも決まったことだし、これからもっと楽しいこと待ってるはずなんだけど？』
母「デビュー前に辞めればちょっと良いじゃない。
相当バッシング酷いみたいだし。母親としては心配よ？」
『心配ご無用。
バッシングには慣れたし、ようやくデビューっていうチャンスをもらえたんだから。
てか、デビュー前に辞めた方が批判喰らうわ』
お互い、言いたい放題。
メンバーが扉の奥にいることを忘れて、とにかく言い合う私たち親子。
母「そろそろ結婚して、孫の顔を早く見たいものだけど？」
『恋愛の話だけはやめて。
結婚する気はまだ今のところないし、好きな人もいない』
母「あれ？あの人、あのー、なんだっけ」
『その人は違うから』
母「え？違うの？」
『全然違う。お兄ちゃんみたいな友達で先輩なだけ』
母「でも、付き合ってるって...」
『付き合ってるのは友人としてってこと』
とにかく聞いてくる母親に嘘に嘘をつきながら答えていく。
いくら嘘を積み重ねていけば良いの私は。
『とにかく！
会社はつがないし、ジャニーズはやめない！
あと結婚もしばらくしない！』
母「相変わらず頑固なんだから。
まあ、続けられると良いわね」
なんで意味深な発言をして、去って行った母。
何がしたかったのか。
なぜ、あんなことを言ったのか。
私には、理解できない。
何事もなかったかのように楽屋に入るが謎が解けず、苛立ちが増す一方だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1395人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
