▽アクロバット 2 ページ12
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阿部side〉
照が投げかけた疑問の中に含まれていた「アクロバット」。
その単語に一瞬、表情を暗くさせたA。
でもすぐに笑顔で質問に答える姿をみて、特に何も思わなかったけど、やっぱり回答が気になって耳を傾ける。
みんなも思ってることは同じみたい。
でも、Aが最後に放った言葉「できなくなった」たったその一言で空気が重くなった。
『ちょっと水買ってきまーす』
普段と変わらない様子で椅子から立ち上がり、そのまま楽屋を出た彼女。
岩「聞いちゃいけなかった...？」
深「俺たちAのことわかりきってるわけじゃないから仕方ないよ」
目「でもアクロバットしてるのみたことないんだよな」
佐「なんかあったのかな」
ラ「大丈夫かな」
向「確かに、心配やな」
舘さんも心配そうな顔してるし、翔太はなんかうろちょろしてるし落ち着きがなくなってる。
阿「俺ちょっと行ってくる」
佐「俺たちも理由知ってる人いないか聞いてみるわ」
とりあえず、俺はAを探しに。
飲み物買いに行くって言ってたのに財布持ってかないなんて凡ミスを犯すような子じゃない。
きっと、何かある。
そんなこと思いながら近くの自販機へ。
長椅子に座っているAの姿を見つけ、ゆっくり近づいたあと、優しく名前を呼ぶ。
「阿部ちゃん」と言う彼女は、いまにも泣きそうな顔をしている。
阿「ほら、おいで」
上からだと威圧感あるかなと思ってしゃがんで同じ目線になる。
それでもなかなかいつものように抱きついてこないA。
そんな彼女を無理やり抱き寄せる。
『なんで...』
阿「Aのことは見てるからね」
『こわ...』
阿「え、Aもでしょ」
聞き出したいけど、やめておこう。
阿「戻る？」
『もうちょっと...』
阿「えー、俺戻りたいんだけど」
そう言うと、無言で俺の肩に頭を預けてきた。
どうすればいいか分からず、いつも通りぽんぽんと背中をたたいてあげると、いつの間にか彼女は眠っていた。
阿「寝た...？」
とりあえず戻ろう。
そのままAを抱き抱えて、楽屋へ戻った。
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