隙あらば、好きと

◇野と．req ページ42

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独特な電話の通知音が部屋に鳴り響く。



が、生憎お風呂に入っていたので、放置。



そして、ようやくテレビつけて落ち着けるわとか思ってたら電話来てたのを思い出した。



もちろん、連絡相手は、うるさくてしょうがない野村周平。



電話をかけ直さないと今度はスタレンとかで通知を増やしてくる地味に嫌なこと仕掛けてくるので、かけなおす。



ワンコール目で出てしまう彼はよほど暇人なんだろうか。



「もしもしー？」



「あ、A〜。


なんですぐ出なかったんだよ」



「こっちにだって生活リズムとかあるっての。


お風呂入ってたの」



「俺たち以心伝心してるはずだろ？」



「は？」



脳内お花畑でさぞかし幸せそうですね！？！？


なんて変なこと言うからちょっとイライラしてきた。



「で、用件は」



「暇だし、Aの声聞きたいなーって」



「暇人」



「うるせぇ」



だいたい電話かけてくるって相当暇人だぜ？



あ、それは野村周平という男限定ですけど(違う)



「早く寝たいんで、切っていいですか」



「あぁ！なら俺寝るまで付き合うから！


そっちの方が寝やすいでしょ？ね？」



はい決定！と元気の良い彼に、もうついていけないほど私は眠たい。



「どうでも良いけど、寝落ちしたら切っといて〜」



「わかった！あのさあのさ…」



最近あった共演者の方が面白かったとか、監督さんに褒められたとか。



話のネタが尽きない様子の周平さん。



それに対して、もうまぶたが落ちそうな私。



「A？眠たい？」



「そろそろ限界...。眠すぎる」



「俺話してる間に眠かったら寝てよ。


寝てるの確認したら寝るから」



彼の好意に甘えて、まぶたを閉じながら話を聞くことに。



本当にネタが尽きないなと思いながら、面白い話を聞いていると、あっという間に睡魔に襲われた。



＊



「寝た？」



寝るのはぇーなと思いながら、耳を澄ませると規則正しい寝息が聞こえてくる。



「好きだよ」



聞こえてないかもしれないけど、気持ちくらい伝えてもバレないでしょ。



なんて思いながら、静かに通話を切る。



Aに早く会いたいわ。



会って、ギュッてハグして。



いつも良い匂いするし、何より落ち着くんだよな。



なんて変態な思考回路になりつつある俺も、ゆっくりまぶたを閉じた。



ねぇ、これでちょっとは俺のこと意識してくれた？

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