隙あらば、好きと

◇横 ページ34

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今日の仕事を終え、前から約束していた人と焼肉を食べに。



そのお相手は…



「お待たせしました〜」



「お疲れ様〜」



今をときめく大人気俳優、横浜流星。



「あれ、A。なんかいつもと違う？」



「あー、1ミリ髪切った」



「絶対違うでしょ(笑)」



「あ、バレた？(笑)」



いけると思ったのになーとボソッと言うが、彼には届いていない様子。



「何食べます？」



「何食べたい？」



「Aが好きなもの食べなよ」



「あらやだ、イケメン」



そんなキャラじゃないでしょと突っ込まれ、なんだか切ない気持ちになりつつメニューを見る。



「んー、じゃいつものにしよーっと」



「よく来るの？」



「そー。ここ友達が働いてるからよく来るんだよね。個室あるし」



へーと興味なさそうに答える彼。



もうちょい興味持ってくれても良いのにと思いつつ、定員さんを呼ぶ。



「いつものでお願いします」



「かしこまりました。飲み物はどうされますか？」



何がいい？と彼に聞くと「ウーロン茶」と答えたので、その後に「ウーロン茶とビール１つずつ」と頼んだ。



「友達って、あの人？」



「うん。可愛いでしょ」



「可愛いけど、俺はAの方が可愛いと思う」



「最近イケメン度増してません？」



「え？」



よくわからないという顔をされた。



イケメン度って言葉は、イケメンには通じないのかもしれない。



そんなくだらないことを思っていると、頼んだものが届いた。



「俺あんまり食べれないから、Aたくさん食べなよ」



「いやいや、無理はしなくともちゃんと食べてね。流星さん」



とお肉を並べていると、トングを取られてしまった。



「俺が焼くよ」と笑顔で言われたらお願いしますとしか言えず…。



それすら絵になる彼はかなりずるい。



こっそりと写真を撮り、後で投稿してやろうと思った。




「美味しい？」



「うん。美味しい」



良かった。と微笑んだ彼をみて、ふと浮かんだのは…。



「あーん」



「え？」



「流星、食べないともったいないよ？」



「あ、うん」とぎこちない返事をした彼は、パクリとお肉を食べた。



「美味し？」



「美味い！」



「でしょ〜」



そうして、お腹いっぱいまで食べた私たち。



「お会計済ませといたから帰ろ」



「え、いつのまに…」



「年下に払わせるわけにもいかないからね」



帰るよーと2人でタクシーに乗り、仲良く帰りました。

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