隙あらば、好きと

◇HSJの山 ページ22

.



午前中のドラマの撮影が終わり、午後のバラエティ番組の撮影のため、早めに楽屋へ。



お弁当を食べ、台本を読みながら水分補給をしていたらいつの間にか水がなくなっていた。



水分補給は大事なので、近くにある自販機に水を買いに行きたいのだが、マネージャーは今仕事の話でいないためバッグを置いていくのが心配。



いや、盗まれるとかないと思うけどね？一応、念のため…心配性なんですよ。



そんな感じで、行くか行かないか迷うこと数分。



ｺﾝｺﾝ、とドアをノックする音が聞こえた。



「はーい」とドアを開けると、これまた整った見慣れた顔が目の前に。



「久しぶり！元気だった？」



「うん、元気だよ。え？待ってなんでいるの」



「これからバラエティ番組の撮影なんだけど、まだ時間あるから遊びに来た！」



「な、なるほど…」



久しぶりのイケメン山田涼介との再会。



突然来たから呆気に取られて、微妙な反応になってしまった。



そして、今、「最近テレビで見ない日はないよ。忙しそうだね。休めてる？」と質問攻めのような状態になっている。



「一旦落ち着いて」と言うと、「ごめんごめん(笑)久しぶりだからさ」となんとも女の子をときめかす王子様発言をさらりとしてくる山田さん。



「あ、さっき自販機で飲み物買ったら、たまたま当たってさ〜」



「えっ！？」と思わず反応してしまうのも仕方がない。



当たることもすごいが、彼の手には水の入ったペットボトルがあるのだから。



「いる？俺、2本もいらないから」と1本差し出してくれる。



思わず笑みが溢れて、ありがとう！と受け取るとニヤニヤしている涼介くん。



ちょっとあなたアイドルでしょ。その顔やめなさい。と思ってしまう。



「なんか変なものでも食べた？」



「酷っ！？

ただ、水1本だけでそんな笑顔になるなんて可愛いなって思っただけだよ」



はにかみながらそう答えた彼。


なんだかちょっと負けた気分。



「いや、たまたま水が欲しかっただけ。


…でも、自分の分だけじゃなくて、もう1本相手の分を持ってたっていうのが素敵だなって」



「やっぱりAってツンデレだよね」



「ツンデレじゃない！」



そう言って、ペットボトルのふたを開けた。



「やっぱり、Aは可愛いよ」



「涼介もカッコいいよ」



そう褒めると少し顔を赤らめた涼介くんでした。

◆SNS 9→←◆SNS 8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す