16：鶴の戯れ ページ9
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只今の時刻は夕飯時。私は食堂に行かねばならないのだが、何故か土井先生の変装をした人に絡まれています。
という事で【『半助さん』の可愛い(笑)年下彼女のフリをして目の前の人物が誰か探ろう作戦】を決行中だ。作戦名のセンスがなくて長いのはスルーしてくれ。
十中八九この学園の生徒だろうからちょっと本気で演技しようと思う。なめられたくないんでな！！！
「会いたかったです……あの、どうかしましたか？」
相変わらず手を握ったまま首を傾げて相手を見る。ついでに会えて嬉しい感を出すためにちょっとだけ握る手に力を加えた。
「！？え、いや、何でもないですよ！！」
「でもまた敬語に戻ってますよ？」
「こ、これはあの、何ていうかその！……えっと」
見ろ！あたふたしているぞ！！
それにこの一見初心に見える反応は土井先生っぽい。だが赤面していないのですぐ偽物だとわかる。
だって土井先生はめっちゃ初心なんだぞ！？そして茹で蛸もびっくりレベルの赤さになるんだからな！！なめんなよ！！(？)
「……よくわかりませんが、私に何か御用があったのでは？」
「そ、そうだった！実は聞きたいことがあって！」
「聞きたいこと？何ですか？」
「えっと、その前に手を離してくれると嬉しいのだが……」
あーそりゃそうだよな。いきなり見知らぬ女が頬を染めて手を握ってきたら怖いよな！
本当はずっと握っていたほうが手の温度や脈拍から色々探れるのでありがたいのだが、後ろのお仲間からの視線も鋭いのでやめてあげよう。
「あら、すいません、久々に会えたものですから嬉しくてつい……」
「……久々？」
「え、何のために私が態々ここに来たと思っているんですか……？忙しいだの何だの理由をつけて、恋仲なのに全然会ってくれないことに直接文句を言いに来たんですよ！？」
ここで年下彼女の設定を説明しておこう。
・土井先生(半助さん)と恋仲
・しかし彼が忙しい事を理由に最近全く会ってくれない
・なので自ら学園に突撃訪問をした
我ながら、急遽考えたとはいえ結構無茶がある設定だと思う。恋仲だからって忍術学園に突撃訪問できるものなのか等々疑問を抱いてもおかしくない。
だがな？
ここの生徒であろうこの人は、勿論土井先生が独り身であることを知っているはずなので、
(か、彼女！？土井先生彼女いたのか！？)
と考えているに違いない。
なのでもうちょい遊ぶことができる。やったね！
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