15-6 〈続き〉 ページ6
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「恐れているというか、あの人とお近づきになれないかもしれないだろ!!?」
「……はい?」
あの人とお近づきになれない?え、何、幻聴?
「男だと思ってたら美人なお姉さんだったんだぞ?そんなのお近づきになりたいに決まってる!だけどもし俺がストーカー行為してたってバレたら?仲良くなる前に絶対嫌われる!!
そんなの……悲しすぎるじゃないか!!」
「??」
私と雷蔵は大量のクエスチョンマークを浮かべた。
確かに私もあの人は美人の分類に入ると思う。だがお近づきになりたいかと聞かれたら別にどちらでも良い。
「……えーっと、勘右衛門のタイプってあの人みたいな人だっけ?」
「いや?タイプってわけじゃないよ?でも誰だって美人さんとは仲良くなりたいと思うだろ?」
いや、少なくとも五年生の中でそう思っているのはお前だけだと思う。ほら雷蔵だってそんな顔しているだろ?気づけよ。
「はぁあああこんな事になるならついてくるんじゃなかったなぁ……ねぇ」
……おいやめろ。捨てられた子犬のような目で私を見るな。
「さ、三郎……」
雷蔵もやめてくれ。というかそんな同情した目で見るくらいなら助けてくれ。
『同室だろう!?』という私の叫びも虚しく、ジリジリと勘右衛門はこちらに迫ってくる。どうにか逃げようと後退したが、呆気なく壁際に追いやられてしまった。
「なぁ、三郎?」
あーこれはもうダメだ。こうなった勘右衛門は
「今度は俺の我儘聞いてくれても良いよな?」
はぁ、仕方がない……腹を括るか。
「わかったよ……で?一体私は何をすれば良いんだ?」
「そうこなくっちゃ!!」
__________そうして現在に戻る。
私は勘右衛門に言われた通り変装をして、この人__鶴町Aの前に姿を現した。
勿論、彼女が忍者である証拠を掴むことと、私達(特に勘右衛門)が潜んでいた事がバレているかどうかを確認してこいという命令付きで。
まあ変装名人であるこの私__鉢屋三郎にかかればそんなの朝飯前だと胸を張って出てきたのだが……結果はご存知だろう。
即バレだ。
これが何故私が『偽物』と呼ばれることになったかという経緯である。
でも私だって変装名人としてのプライドがある。例え即バレしていようとも悪足掻きぐらいさせてもらうぞ!!
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