18-11 〈続き〉 ページ36
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「うわぁ!すっごい激しい雨だ!!」
「あら大変!ちょっと長屋の様子を確認してくるわ!!」
突然の豪雨にほんわかした空気は一変。
シナはくノ一長屋を確認しに廊下を軽く駆けていった。
「あっ!!僕、箒を門前に置いてきたかも!!」
「あらまぁ、きっともうびしょ濡れだね。でも風で飛んだら危ないししまった方が良いよ」
「だ、だよね!でもこの書類も届けに行かなきゃいけないんだった……どうしよぉ!!」
小松田は書類の束を抱えていた。
Aは書類を届けた後に箒を片付けに行けば良いのでは?と言おうとしたが、シナが『小松田くんはぬけている』と言っていたことを思い出した。多分、彼は書類を届けたら箒のことを忘れそうだ。……仕方がない。
「秀作、私が箒を片付けておくよ」
「え!?いいの!?」
「うん。でも濡れたくないから傘を貸してくれるかい?」
「もちろんだよ!!ちょっと待ってって!!」
小松田の代わりに箒の片付けを引き受けたAは、傘を取りに事務室内へとひっ込んだ彼が出てくるのを待った。
(随分慌てていたなぁ別にゆっくりで構わないのに……)
そう彼女が思っていると、室内から何かが倒れる音とうわぁっという声が上がった。
「え、秀作!?大丈夫か!?」
Aは返事も聞かずに急いで障子を開ける。するとそこには傘を片手に書類に埋もれた小松田がいた。
「いやぁ〜傘を出してきたら机に足を引っ掛けちゃって山積みにしていた書類が全部崩れちゃったよ〜あはは〜」
「呑気に笑っているが絶対そんなバヤイじゃないだろう」
Aは呆れつつ傘を受け取ると小松田の腕を引っ張り書類の山から救出した。
「これの片付けは手伝った方が良さそうだな……」
「ごめんねぇ……あ、でも先に箒をお願いしても良いかな?」
「箒?……確かにそうだね。わかった、行ってくるよ」
「お願いします〜!」
ひとまず書類の片付けは小松田に任せ、Aは門へと急いだ。
(びしょ濡れの箒ってそのまましまって良いのだろうか?カビたりしないかな〜)
なんて考えながら廊下を軽く駆けていく。
雨は相変わらず激しい音を立てながら降り続いていた。
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