18-10 〈一方その頃〉 ページ35
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＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿一方、忍術学園
「それでここがAちゃんの部屋ね！」
「結構広いね〜こんな部屋もらっちゃって良いの？」
「もちろんよ！学園長先生が直々に仰ったのよ？遠慮しないで！」
「そっか。わかった！じゃあありがたく使わせてもらうね」
夕食を取り終えたAは乱太郎達と別れ、約束通りシナに自室の案内をしてもらっていた。
Aの部屋はくノ一長屋の一番端で、他の生徒が使っている部屋より少しばかり大きかった。
「さて、長屋の案内もしたし小松田くんに会いに行きましょうか？」
「うん。部屋と長屋の案内ありがとうね、シナちゃん」
「良いのよ！さ、事務室はこっちよ！」
未だに伏木蔵のことを知らせに来ない小松田に抱いた疑問を解消するべく、2人は事務室へと向かった。
裏々山の方角からはどんよりとした雨雲が迫ってきていた。
「え？まだ帰ってきていないのかい？」
「うん、僕も遅いなぁって思っていたところなんだよ！」
事務室に着くと丁度小松田が障子を開けて出てきた。すかさずAが伏木蔵のことを聞くと、やはりまだ帰ってきていないと言う。
「出て行ったのお昼時くらいでしょう？随分遅いのね……」
シナも心配そうな表情を浮かべる。
それを見た小松田はすぐにフォローを入れた。
「でも伊作くんも一緒だし大丈夫だと思いますよ！！」
「……秀作、『伊作くん』っていうのは誰だい？」
「え？ああAちゃんはまだ会ったことがないか！『善法寺伊作くん』っていうここの六年生で、伏木蔵くんが所属する保健委員会の委員長だよ〜」
「六年生……」
『六年生』と聞いてAの頭の中で真っ先に浮かんだのは、自身に突然苦無を投げてきたサラストヘアの男だった。
(まさかその善法寺くんとやらも同じような分類の人間じゃないだろうな？)
Aの心に僅かな不安が浮かぶ。
それを察したのか今度はシナがフォローを入れた。
「大丈夫よ！伊作くんは優しくて頼り甲斐のある良い先輩よ？実力もあるし頭もキレる彼が一緒なら問題ないわ！」
「そうか……シナちゃんがそこまで言うなら信じるよ」
「ええ！」
Aはシナの笑顔に釣られて微笑んだ。小松田も2人に釣られてニコニコとしている。ここら一帯はほわほわとした雰囲気に包まれた。
しかしそれをぶち壊す轟音が聞こえた。
“ゴロゴロ”
”ザァーザァー“
「雨だ……」
先程晴れたAの心にまたしても不安が浮かんだ。
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