【忍たま】姉は弟になかなか会えない 3 (ページ30)

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18-5 〈善法寺伊作の焦燥〉ページ30

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「伏木蔵〜！！どこに行ったんだーい！？」

僕は大声で名前を呼びながら大事な後輩を探す。

きっと遠くには行っていないだろうと、先程まで彼がいた周辺を探しているのだが見つからない。もっと遠くに行ってしまったのだろうか？

「勝手にどっか行くような子じゃないはず……まさか不運か！？」

もしかしてと浮かんだのは、ほんの少し前の自分の姿だった。
彼も僕と同じように不運にあっている可能性は充分に高い。

だって彼も立派な保健(不運)委員会の一員なのだから。

どこかで転んだ？それとも落とし穴に落ちた？はたまたイノシシに追いかけられて逃げている？

頭の中で様々な不運を思い浮かべる。
ちなみにこれは僕が全部経験したことのある不運だ。

……それはともかく、早く見つけるに越したことはない。

ガサガサと木々を掻き分ける手を速めた。
されど、伏木蔵は見つかるどころか気配も感じない。これは本当にもっと遠くの方まで行っているのではないだろうか。

陽が傾いてきたようで、少しだけ差し込んでいた光も徐々になくなってきている。ただでさえ薄暗いのに陽が落ちたらそれこそ何も見えなくなる。
夜目(よめ)が利くとはいえ、ここは初めてきた場所だ。暗闇での捜索は困難なものになるだろう。

(陽が落ちる前に伏木蔵を見つけなきゃ！！)

僕の目的は薬草探しから伏木蔵探しに変更された。
どうにかして陽が落ちる前に見つけなければ。制限時間はあと2時間あるかないかというところだろうか？

もし陽が落ちるまでに見つけられなかったら？

……なんて弱気になっている暇はない。
だって後輩1人見つけられないなんて、忍術学園の六年生として不甲斐なさすぎるでしょ？

でもまあ心配なのは事実なんだけどね。

「おーい！！どこにいるんだーい！伏木蔵〜！！」

少々不安を抱いたことを誤魔化すためにも、僕は再度大声で名前を呼んだ。