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私は学園に来てから昼寝をするまでの経緯を彼らに話した。勿論、闇夜の丹頂という厄介な異名は伏せて。
だって知らないなら態々教える必要ないだろ?それに万が一、じゃあ勝負しろとか言われたら気分ガン萎えだ。
「なぁんだ!じゃあ最初から警戒する必要なかったんですね!!」
三郎の早とちりか〜と笑う尾浜くんだったが、目の奥は笑っていない。こっわ……
「……その特別講師っていうのはわかったんですけど、Aさんまだここにいて大丈夫なんですか?」
「ん?何故だい?」
そんな視線を無視し問いかけてくる鉢屋くん。何だかとてつもなく疲れたように見えるけど私のせいかな?
「きり丸が『Aさんも食堂に用があるんですよね』って言ってた気がするんですけど」
私はこの言葉で『夕飯時に食堂に行かなければならない』ということを思い出した。
そうだ、そこで山本シナ先生という女性に会って自室への案内をお願いしなければいけなかった。
現在の時刻は正確にはわからないのだが、確実に夕飯時かそれを過ぎている頃だ。その証拠にしんべヱがご飯を求めて食堂に猛ダッシュしてから随分と時間が経っているし、どこからか良い香りが漂う。
今日は煮物かな?ってそんな事を考えているバヤイか!?
「すっかり忘れていた!!!!」
自分が思っていた以上に大声が出た。
予想外の大声で彼らは仰け反る。申し訳ないがそれに構う程の余裕は無い。
「思い出させてくれたこと感謝する!食堂で山本シナ先生に会わなければならなかったんだ!!というわけで行ってくる!!!」
早口で捲し立てる私についていけないようで、3人は放心状態のままだった。
そんな彼らを尻目に、私は大急ぎで食堂へと駆け出した。
だから背後で、
「……行っちゃったね」
「俺もっと話したかったんだけど!?」
「まあまあ、Aさんが特別講師になったということは今後嫌でも学園内で会うって!だから今は我慢しなよ」
「えー確かにそうだけどさー」
と、不貞腐れる人とそれを慰める人の会話があったことなんて知らない。
ましてや、
「ていうかあの人『山本シナ先生』って言ったよな?」
「うん、そう言ってたと思うけど?」
「……山本シナ先生怒ると怖いけど大丈夫だろうか?」
「あ“!Aさんご愁傷様……」
気の毒に思われていた事など露ほども知らなかった。
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