【忍たま】姉は弟になかなか会えない 3 (ページ17)

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17：何かを忘れていないか？ページ17

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「えーっとつまりキミ達は、見知らぬ人物が学園にいたので観察していたが、それがバレたと思い本当にバレたかどうかを変装して聞き出そうとしていたと？」

「はい、仰る通りです……」

熱い(笑)抱擁から解放された私の目の前にいる、大人しく正座をする瑠璃色の制服を着た3人の男が答える。

瑠璃色ってことは五年生かな？……え、何故学年がわかるのかって？

実は学園の案内をしてもらってるとき、乱太郎達から委員会の事以外も教えてもらっているのだ。
例えば学年は一から六年生までいる事、忍び装束が制服で学年毎に色が違う事、至る所に落とし穴がある事、自慢話が好きな人には注意する事、とかね。

最後のひとつに関しては注意しろって言うくせにAさんとは気が合うかもって言われたがな。謎だね。

まあその話は今は置いておこう。

で？この後私はどうするのが正解なのかな？誰か教えてくれないか！？

尾浜勘右衛門が大声を出しながらA達の元へ突撃してすぐ、鉢屋三郎は抱き締めていた手を離した。そして「自分は何をしていたんだ」というように自身の手を見つめ唖然とした。

しかしそれも束の間、尾浜が彼の胸ぐらを掴み前後に激しく揺らした。

「おい三郎！！お前俺が言った事無視して何抱きしめてんの！？」

「は？いやこれは土井先生のためであって……」

「はぁ！？とかなんとか言ってやっぱりお前もお近づきになりたかったんでしょ！！」

「ちょっと勘右衛門、やめなって！！」

あーだこーだ揉める揉める。しかもいつの間にか尾浜と一緒に後方で見守っていた不破雷蔵も登場している。

事態は悪化する一方だ。

だが蚊帳の外であるAは焦るどころか『やっぱり土井先生じゃなかったなぁ当たり〜』と呑気に考えていた。そして特に何か言うわけでもなくただただ傍観する事に徹した。

しかし、いつまでもその状態が続いてしまえば話は別だ。

沈黙を貫き傍観に徹した(否3人がAの存在を忘れたとも言う)が一向に終わらない三つ巴の戦いにいい加減飽きた。つまらん。

そうAが思ってしまえば話は早い。

Aはスッと音もなく近づくと、揉める3人の頭頂部に拳骨を叩き込んだ。ゴッと鈍い音が鳴ると同時に小さく呻く声が漏れる。
ひとり「びゃっ」と言ったやつもいた気がするが誰だかは不明だ。

そうしてAは3人の注目を見事集める事に成功し、彼らを正座させて事の詳細を聞き出し、冒頭に至るのであった。