16-5 〈続き〉 ページ13
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と、気分が沈んでいた時期が俺にもありましたよ。ええ。
だって面白半分で観察していた人が忍者だったんだよ?しかも敵か味方かもわからない!!!だけど足音が一切しない事から優秀だという事は推測できるし、そんな人が後輩と一緒にいるなんて最悪の事態を想定しちゃうのも仕方ないじゃん。気分も沈むに決まってるじゃん……!!
ま、今は?そんな気分も見事に回復してるんですけどね!!
だってあの人がめっちゃ美人なお姉さんだったから!!!!!
いやぁ元々容姿が整ってるとは思っていたよ?だけどさ、失礼ながら女の人だとは思っていなかったわけ。
だって袴着てるし、背だって俺らと同じくらいの高さだし、そんなの間違えるよね?ね?
……まあ何はともあれ、あの人が美人なお姉さんなのは事実。それがわかった今、俺がすることといえばひとつ。
そう、あの人とお近づきになることだ!!
とはいえちょっと思い返してほしい。俺が今までやってきたことを。
天井裏からの観察、尾行、追跡……うん、これってただのストーカーだよね!!!!!え、やっば。もしかして俺やばくない?
「で、でもさ、あの人忍者なんでしょ?じゃあ別に大丈夫じゃないかな?」
うん、確かに雷蔵の言うことには一理ある。任務でくノ一を尾行したりすることあるもんね。だけどさ?
「本当に忍者だったらね!?俺達の推測で忍者って言ってるだけで証拠がないじゃんか!!」
「しょ、証拠か……」
お姉さんが忍者だという証拠がないんだよ!!!!つまり一般人の可能性もあるってことだろ!?
俺はしばらく荒ぶった。
そんな様子を見て雷蔵は諦めず色々とフォローしてくれたのだが残念ながらどれも効果はなかった。すまんな。
そして呆れ顔の三郎が言う。
「なあ、勘右衛門。お前何をそんなに恐れているんだ?」
いや、さっきから思っていたけどなんでお前ら2人ともそんな冷静なわけ?おかしくない?
というか別に俺は恐れてなんかいない。
天井裏に潜んでいたのがおばちゃんにバレて、また下級生の頃のように般若を凌ぐ顔で怒鳴られるのが怖いとかこれっぽっちも思っていない。
ただ、
「恐れているというか、あの人とお近づきになれないかもしれないだろ!!?」
あのお姉さんと仲良くなれないのが嫌なのだ。
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