【忍たま】姉は弟になかなか会えない

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自身が付けた高評価が、実は間違いだったということにAが気づくのはまだ先のお話である。

その高評価を受けた彼＿＿小松田秀作は、確かに無断侵入者や無断外出者の存在を決して許さない。しかし裏を返せば『無断』でなければ許してしまうのだ。

現に弟に会いに来たと言うAの発言に対して疑問は抱かず、入門表にサインを書かせて門を潜らせてしまった。もし彼女が嘘をついている曲者だったらどうするのだろうか。






「鶴町さんの弟さんって鶴町伏木蔵くんですか？」
「おや！伏木蔵をご存知で？」
「もちろん！伏木蔵くんはここの生徒さんですから！」


さすが伏木蔵、事務員にもその名が知れ渡っているとは！！


「にしても、伏木蔵くんにお兄さん(・・・・)が居るなんて知りませんでした！」
「ん？」
「しかもすっごくお綺麗な！髪の毛もサラサラで立花くんみたいだぁ」


いや、立花くんって誰だ。知らん人の名前出されても困るのだが？

てか今編笠被ってないのに間違われた？この会話にデジャブを感じるぞ？別に男に間違われるのは構わないのだが、誤解は早めに解いた方が良いだろう。


「あーお褒めいただきありがとうございます。でもですね、」
「というか、鶴町さんっておいくつですか？」
「え、年齢？18ですけどどうかしましたか？」


おい。こっちの話を聞け。遮るな。


「やっぱり年上でしたか！！じゃあ敬語なしで大丈夫ですよ！」
「は、はぁ。小松田さんの年齢は？」
「16です！あ、呼び方も呼び捨てで結構ですよ〜」

「……じゃあ小松田くんと呼ばせてもらうよ」


なんなんだこいつは！？すっごいマイペースすぎない？思いっきりペース持っていかれたぞ！？さては小松田くん、ただの事務員じゃないな？てかそりゃそうか。忍術学園で働く人が忍者じゃない訳ないだろう。きっと今も気付かぬうちに術をかけられたに違いない！！


「ねえ、小松田くんも忍者なのかい？」
「え！？いやいや、僕は忍者になりたいけど才能が無くて……でもやっぱり忍者を諦められなくて、ここで事務員やりながらたまに手裏剣投げとか練習してます！」


なんか犬の耳と尻尾が見えるのだが？シュンと垂れた耳と力無く揺れる尻尾が見えるのだが！！！？

くそぉ！不覚にも可愛いと思ってしまった……確かに歳下だけど16歳は私の愛で対象外なはずなのに何故だ？


こいつ、忍者より厄介かもしれない。

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