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そこには白衣を着た医者と白い布を深々とかぶった怪しげな人物が立っていた。
医者とその怪しげな人物は彼女が目を覚ましていると分かるとカツカツと靴の音を立てて近づいてきた。

「Aさん、体調は如何ですか?」

「えぇ、大丈夫です」

医者は彼女が正常に会話ができる状態であると分かるとレントゲン写真と書類をファイルから取り出した。加州清光と髭切はカーテンの後ろに移動し背中を向けた。
医者の表情に彼女は嫌な予感を覚えた。おそらく加州清光と髭切も同様にその空気を察しての行動だったのだろう。
レントゲン写真と書類をテーブルの上に並べ、医者は話し始めた。

「Aさん、あなたの体はかなり良くない状態です。脳の疾患です。もう先も長くないところまで来ています。長くてあと 2年です」

彼女の頭は真っ白になった。
あと2年しかこの世にいられないのかと絶望した。カーテンの向こうでは驚きのあまり声を漏らす加州清光がいた。髭切の表情は伺えない。
短すぎる余命宣告に呆然とする彼女に怪しげな人物は問いかけた。

「俺は政府の監査官だ。あと2年、審神者をやめるか
、それとも刀剣男士と最期まで共に過ごすか、選べ」

2年、彼女に残された時間をどう使うか状況が理解できないながらも冷静に、彼女は懸命に考えた。
何年もの間共にすごしてきた刀達、彼女にはそれがかけがえのないものだと分かっている。
彼女の気持ちはすぐに固まった。

「刀剣男士達と最期まで一緒にいさせてください」

彼女の選択も、彼女を苦しめることとなった。
監査官が出した書類には現在彼女の本丸に所属している刀の名前がずらりと並べられ、その横に印をつける枠があった。彼女はその書類を見て直ぐにその意味がわかった。

「君の体の負担を減らすためにこの中から6振まで絞ってくれ。それから近侍はこれから政府との連携のために固定にする。その近侍も選べ」

本丸で過ごしてきた日々が、走馬灯のように思い出された。
誰かを削るなんてことは出来なかった。
「出来ない」そう言おうとした時、カーテンが開いた。

「清光......」

「俺達は主が選んだことなら異論なんてない。出陣するってことを考えたらバランスのいい編成ができるようにした方がいいと思う。その事も考えて、ね」

加州清光の目には涙が溜まっていた。その加州清光の姿を見て彼女は書類にもう一度目を通した。1振1振との思い出が蘇る。そして彼らの横に印をつけていく。バツをつける度に謝りながら、震える手で。

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設定タグ:刀剣乱舞 , 女審神者   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:いてぃごん | 作成日時:2019年2月12日 0時

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