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西暦22××年、時の政府は歴史改変を目論む「歴史修正主義者」に対抗すべく、物に眠る想いや心を目覚めさせ力を引き出す能力を持つ「審神者」と刀剣より生み出された付喪神である「刀剣男士」を各時代へと送り込み、戦いを繰り広げる。
そんなことが当たり前になったこの時代、彼女達の本丸もまた、その中の1つであった。
政府の名に従い、刀剣男士を率いて戦う彼女達の有り触れた日常。その日常は突然終わりを告げることとなった。
──目を覚ますとそこは汚れなど全くない、眩しいくらいに真っ白な天井だった。
重たい身体をゆっくりと起こそうとすると聞きなれた声がその動きを止める。
「主、まだ動いちゃダメだよ」
その声は本丸設立時から共に戦い、生活してきた初期刀、加州清光だった。
「清光......?一体ここは、私はなんで」
混乱する彼女に加州清光は落ち着くよう促した。そしてここに来るまでの経緯を加州清光は話し始めた。
「主は4日前本丸で倒れたんだ。それで近侍だった髭切と初期刀の俺が付き添って今は政府と関わりが深い病院にいる。今髭切は本丸に1度帰って主の様子を報告しに帰ってるよ。もうすぐ帰ってくるとは思うけど」
倒れた。
そう聞いて彼女はゆっくりと思い出す。
夕飯時に大広間へ行こうと近侍だった髭切と歩いている時に意識が遠のき、廊下で倒れてからその先の記憶が無いことを思い出した。
そこから4日もの間ずっと眠っていたのかと彼女は驚いた。驚いて頭が上手く働かない彼女を宥めるように加州清光は背中をさする。
「本丸は変わりはないよ。大丈夫」
優しい声で宥める加州清光は彼女の兄のようだった。安心して微笑む彼女の意識は唐突に叩かれたドアに向かう。加州清光が返事をするとガラガラと音を立ててドアが開いた。その先には驚いて大きな目をさらに大きくした髭切が立っていた。目を覚まし、加州清光と言葉を交わす彼女に駆け寄り、まじまじと彼女を見た。
「主、目が覚めたの?体は大丈夫?」
「まだ目が覚めたばかりで頭がぼーっとしているけれど、大丈夫よ」
彼女がそう伝えると髭切は胸をなでおろした。髭切は肩にかけた上着をベッドの上へ置くと彼女の頭をゆっくりと撫でた。
「とても心配だったんだよ」
「いつもの髭切じゃないみたいに慌ててたんだよ〜。あんな大声出す髭切見たことなかったかも」
「それは言わないって約束だったよね?」
病室が和やかな雰囲気に包まれる。すっかり安心しきっていると病室のドアが開いた。
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作者名:いてぃごん | 作成日時:2019年2月12日 0時