【wrwrd】教授が引っ張ってきたのは辛辣系無口男子。【男主】

【オフ】早く起きてよ（10 ページ21

gr視点

エーミールが事故にあって一ヶ月と四週間…前。

最近はずっと、エーミールがいる病室に行くことが多くなった。皆もそう。暇がある時はいつも行っている。
動画撮影が終わった後、雰囲気が暗い。それはきっと、もう、二ヶ月が、あいつの期限が近づいているから。

病室のドアをいつもより乱雑に開けて、ベッドの側の椅子に座る。何回目だろうか、こうやってここに来るのは。

もう、退屈すぎるんだ。あいつが居ないのは。

エーミールの頰に手を当てる。少しだけ、冷たい。二ヶ月前のあいつより、暖かくない。

暖かくないんだ。

gr「……エーミール」

gr「なぁ、エーミール」

gr「エーミール」

gr「エーミールっ！！」

つい、声を荒げてしまう。

gr「……すまん、怒鳴り過ぎた…」

gr「なぁ…早く、早く起きろよ…」

gr「もう、皆、皆、耐えられないんだ……！」

gr「……お願いだからっ…！」

gr「………早く、目を覚ましてくれよ…」

彼には、少しだけ、ほんの少しだけ、涙ぐんだ自分の声が、届いただろうか。




そして、それを病室のドアの隙間から見ていたものがいたと、誰が気づいていただろうか。









グルッペンが病室を出て行った後。


Aは、エーミールを、椅子に座り、ベッドにもたれかかりながらジッと見ていた。

今までで一番自分の側に居てくれた彼を。
滑っているようで面白い彼を。
辛辣な言葉を言いながらも、大好きな彼を。
優しくてあったかい彼を。

じっと、見ていた。

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