違う手※ ページ27
「ただいま〜」
そう言って玄関の扉を開ければ
おかえり、と笑顔の蓮が
手を広げて待っていた。
「今日もお疲れ様。」
そう言って腕の中にいる私を
ぎゅっと抱きしめると蓮は
ご飯食べた？なんて笑う。
「ううん、まだ」
「カレーライス作ってみたんだ。
よかったら、食べる？」
カレーより先に俺の事食べてもいいけど？
なんて笑ってる蓮に思わず私も
笑ってしまう。
「さ、ご飯にしよ？」
蓮に繋がれた手が
心地よくて気持ちいい。
辰哉とは違う。
大きくて温かい手。
ゆっくりテーブルに腰を下ろせば
私の正面に座った蓮は
少し悲しそうに笑った。
「、、ふっかさんのこと
考えてた？」
「え？」
「A分かりやすいから。」
そう言うと蓮はキッチンで
カレーの準備をする。
「ごめんね。
俺がそんなとこにキスマークつけたから
悲しい思いしちゃったんだよね？」
「、、辰哉から聞いたの？」
「詳しくは聞いてないよ。
ただ、Aは俺の好きな人だって。
宣言してきただけだよ」
はい、どうぞ。
と出されたカレーライスは
すごく美味しそうで。
「、、私、最低だよね」
「え？」
「こうして蓮と一緒に居ても
愛されてるって分かってても
不安で仕方ないよ。
また、あの日の辰哉みたいに
蓮も私のところから離れてくかもしれない。
その時に私は今この瞬間
辰哉を選んでいたらよかったなんて
後悔をしちゃうんじゃないかって」
全て言い終わる前に
蓮は私の唇を乱暴に奪った。
昨日とは全然違う。
少し、怒りが混じったキス。
苦しくなって蓮の胸を
トントンと叩けば
私からゆっくり離れた蓮は
今にも泣きそうな顔で。
「そんなこと、言わないでよ。」
Aは他の男に絶対渡さない。
そう言うと蓮は私の腕を掴んで
ソファへ連れていくとすぐに
また熱いキスを落とす。
「蓮、カレーライス冷めちゃ」
「A、俺しか見ないで。
ずっと、俺の事だけ思ってよ」
そう言ってTシャツを脱いだ蓮の
身体は相変わらず見惚れるほど綺麗で。
「、、、辰哉のこと、忘れたい。
蓮で、全部上書きして？」
私の上ではぁとため息をついた蓮に
少し顔が強ばる。
「、、だからさ。
そういうこと言うと男って興奮すんの。
わざと言ってる？」
なんて蓮は怪しく笑う。
「、、わざとじゃない」
「、、はぁ、本当。
俺Aのことまじで好き。」
そう言って笑った蓮が
首筋に顔を埋めれば
私たちはまた1つになった。
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作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
