元カレのターン ページ23
「付き合ってないんでしょ？」
そう言うと目の前のAの
瞳はグラグラ揺れていて。
それが恐らく本当なんだと
いうことは分かった。
でも、あの赤い花をつけたのは
紛れもない目黒で。
その事実に俺の胸は
張り裂けそうだった。
好きな女がメンバーに抱かれた。
その事実に気が狂いそうだった。
「辰哉、、やめてよ。」
そう言うAは
少し震えていた。
Aの首元に唇を近付けて
そっと表情を見れば
ぎゅっと目を閉じてAは何粒も
涙を流していた。
そっと首筋から離れると
「、、、ねぇ、あの頃に戻ろうよ」
情けないほど小さな声しか出なかった。
「2人で美味しいメシ食べてさ。
テレビ見て、風呂はいって。
一緒のベッドで。
ねぇ、俺Aがいないと
息が詰まりそうなんだ」
必死に訴えた声は
Aには届いたのか。
涙を貯めたAの顔は
悲しそうにゆがんだけれど。
それでもまだAは首を縦には
振ってくれなかった。
「なんで、、、
なんで俺ら戻れないの？」
「、、、私たちの間には
もう2年の空白の時間があるよ。」
その間に辰哉も良い恋愛をしたでしょ？
なんてAは笑う。
「私じゃ、辰哉を幸せにしてあげられない。」
そう言うとAは静かに涙を流した。
「、、じゃあ目黒は幸せに出来るの？」
「え？」
「俺は幸せに出来ないのに
目黒のことは幸せに出来んのかよ！？」
思わず声が荒くなって
自分でも感情が抑えきれなくなっている
ことに気付く。
「頼むよ、A、、、
俺を好きだって、、、
そう、言ってよ」
Aの両腕を掴んだまま
力なく座り込めば
頭の上から何度も
Aのごめんねという声が響いた。
謝ってほしいわけじゃない。
振ったのは俺だから。
たくさん傷つけたのは俺だから。
俺のせいで今こうなっているのに
目黒がいなければAは
俺に振り向いてくれたんじゃないか。
そう思ってしまう俺がいる。
「私ね、蓮が好きなの。」
鈍器で頭を殴られたような感覚だった。
「蓮といる時の自分が大好きなの」
だから、ごめんね。
そう言うと俺の手をすり抜けて
Aは部屋を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1812人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
