ペットの事情 ページ11
「お待たせ、蓮」
目「遅い。
待ちくたびれた」
そう言うとAちゃんは
困ったように眉を下げた。
「ごめんね、蓮。
帰ったらすぐご飯作るから許して？」
目「じゃあ、今日は
ハンバーグがいい、俺」
「うん、分かった。
ハンバーグにしよう」
そう言うとAちゃんは
楽しそうに笑った。
俺も馬鹿じゃないから。
さっき、ふっかさんとなにか
話してるのは見えてた。
ただ、俺の目の前で笑ってる
理由がもしかしたらふっかさんの
行動のせいかもしれない。
そう思うと、胸がぎゅっと締め付けられた。
「蓮、どこ行くの？」
「あ〜ごめん。
君のところいるのちょっともう無理」
そう言うと途端に目の前の
女の人は焦り出す。
「なに？私なんか悪いことした？
ただ私を見て欲しいって言っただけじゃない！」
「だから〜、それが重いって言ってんの。」
扉の前で言い合うつもりはないし
次の宿も確保してる。
でも、宿の確保が出来ても
どれだけ女の人を愛しても
俺の感情がそれ以上動くことはなかった。
目「ふっかさ〜ん」
「ん〜？」
目「好きってなんなんですかね？」
そう言うと目の前のふっかさんは
きょとんとした顔で俺を見る
「え？なに急に？」
目「いや、ふっかさんって
彼女途切れてないイメージあるから」
「彼女いねぇよ、今は」
目「俺結構まじで相談してんすよ！
抱いても抱いても、心が満たされないってか。
一緒に居れば居るほど
俺が削られてくみたいで」
そう言うとふっかさんは
少しう〜んと悩んでから
「ほら、あれだよ。
目黒から女の人を求めたことってあんの？」
目「あ〜、、ないっすね」
思い返せばきっかけはいつも
女の人から作って貰ってた気がする。
「それだよ。
好きになるってのはさ、
好きでもないのに近くにいたくて
好きでもないのに触れたくなって
好きでもないのに、彼女の1番は
自分がいいって思うんだよ。
好きじゃないから、好きが生まれんじゃない？」
目「、、なんか深いっすね」
「深澤だけにな。」
目「、、それはすべってますね」
そう言うと目の前のふっかさんは
ケラケラと笑った。
目「なんかいいことあったでしょ？」
「え？」
目「顔にかいてある」
「そんなことないよ」
目「、、どうだか」
Aちゃんはタイプでもない。
好きでもない。
絶対好きにならないタイプなはずなのに。
触れたくて、近くにいたくて
、、、俺だけを見て欲しいと思う。
それはペットのわがままかな？
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作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
