初めての夜 ページ4
「ねぇ、家どこ〜？」
「あの、手繋いでいいって
言ってないんですけど？」
「え、ダメなの？」
きょとんと言う言葉がぴったりな
目黒くんが私を見る。
「ペット散歩させる時リード
つけるでしょ？ほら、リード代わり」
そう言って繋がった手を上に上げると
目黒くんは、ニーッと微笑んだ。
「リード代わり、、」
「ねぇ〜お腹減ったんだけど〜」
そう言うとまた犬みたいに
眉毛を下げて私を見る
「ご飯くらい自分で食べてくださいよ？！」
「え！？
作ってくんないの！？」
「作るなんて言ってないですよ！」
「え〜！俺Aちゃんの
手料理がいい〜」
目黒くんは立ち止まると
繋がった手をブンブンと横に振る。
「、、分かった。分かりました。
作ります。作るから、歩いてください」
「Aちゃんの手料理！？
やった！」
また嬉しそうに笑うと
目黒くんはまたゆっくりと歩き出す。
「あの、聞いていいですか？」
「うん、何でも聞いてご主人様」
「なんで、お家ないんですか？」
「あ〜。
だってめんどくさいじゃん？
片付けも自分でしなきゃいけないし
ご飯の準備とか洗濯とか？
でも、有難いことに今まで出会った
女の人は俺を受け入れてくれた。
もちろん、恋愛感情はないよ？
だけど求められて
そういうことすると女の人って
急に欲張りになるんですよ。
私だけの目黒くんでいて欲しかった。
私だけの目黒くんなのに。
私以外のとこに行かないで。
ってね」
そう言う目黒くんの表情は
さっきのアイドル雑誌の撮影で見た
表情とは真逆の顔で。
「はぁ、、、」
「だから、そういう感情にならない人が
次はいいかなって思ってたら
偶然Aちゃんが目の前に！
神様っているんだな〜って思った」
そう言いながら目黒くんは私を覗き込んで
「俺も質問していい？」
そう聞いた。
「うん。いいですよ。」
「ふっかさんとなんで別れたの？」
胸がドクンと音を立てる。
「なんでって」
「1度だけふっかさんとそういう話
したことがあってね。
その時言ってたんだよ、ふっかさん。
あいつ以上に好きになれる女は
多分いないと思うって。」
「、、、振られたのは私だよ。」
「え？」
「ちょうどジャニーズJrとして
YouTubeのチャンネルを
開設するってなったくらいだったかな。
辰哉の周りが急にドタバタ忙しくなってね。
会える時間もお互いの現状を知る時間も減って。
きっと心が離れてたんだと思う」
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作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
