原因 ページ25
「なにがあったか、
話してくれないの？」
そう言うと蓮の真っ直ぐな
視線が私に向けられる。
「、、、少し。
少しだけね、悲しいことがあったの」
そう言うと蓮は何を言うまでもなく
私をそっと優しく抱きしめた。
「そっか。」
もう、何も聞かない。
そう言うと蓮はじゃあ俺行くね。
と、部屋を後にした。
「なにやってんだろ、私。」
あんなことがあったのに、数分後には
蓮の腕の中にいて。
蓮からの愛を注がれて。
それなのに。
今頃辰哉は、、なんて思う私は
「最低だな、本当に」
壁に背をつけると私の心の中のように
冷えきっていて、自然と涙が流れた。
「ふっかさん。」
「ん〜？」
ふっかさんはいつものように
俺を見て、どうした？目黒。
と声を上げた。
でも、俺バカじゃないから。
俺の様子ずっと伺ってるの。
気づいてるから。
「俺になんかあんだったら
ちゃんと言ってください」
そう言うと携帯を触っていた
ふっかさんの手はぴたっと止まった
「なんかってなに？」
そう言って俺を見るふっかさんの
目はひどく冷めていて
思わず俺が、ぐっと黙り込んでしまった。
「まぁ、目黒から声かけられるとは
思ってなかったけど、とりあえず場所変える？」
そうふっかさんから提案されて
周りを見れば康二や佐久間くんが
何事かと俺らのことを見つめていた。
「、、場所変えましょうか」
「お前もどうよ？」
そう言って差し出される1本のタバコ。
「、、ふっかさん
辞めてたんじゃないんですか？」
「あ〜そうだっけ？」
そう言うとふっかさんは
笑いながら煙を吐き出した。
「、、辞める理由なくなったからさ」
そう言ったふっかさんに
お前は？とまた促されて。
久しぶりに吸ったソレは
どうしても美味しいとは思えなかった。
「Aの首筋の痕さ、
お前つけたろ？」
そう言われて危うくタバコを
落としそうになる。
「え？」
「あんな分かりやすい場所に
つけるなんて、お前バカ？」
笑いながらふっかさんは
俺の頭をつつく。
「Aは多分気づいてなかったから
相当びっくりしてたけど。」
「、、会ったんですね、Aに」
「なに？
もう呼び捨てで呼び合う仲なの？」
目黒もやるね〜なんて
ふっかさんはヘラヘラ笑っているけど
きっと、原因は彼だから。
「Aが、泣きながら走ってきました。
悲しいことがあったって。」
そう言うとタバコを灰皿に
押し付けていた、ふっかさんの
手は少し震えていた。
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作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
