覆せない 26 ページ26
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｢Aさん、お疲れ様です｣
｢お疲れ〜、金指くんも休憩？｣
｢はい。隣お邪魔していいですか？｣
いいよいいよ、と荷物を退ける。
土曜日、朝から夕方までのロングだけど憂鬱な気持ちにならないのは金指くんがいるからだったりする。
可愛いんだもん、にこにこしてて！
｢そういえばAさんが休憩入ってすぐ、この前のトイレ立て篭り男来ましたよ｣
｢龍我くんの事？｣
｢りゅうが…多分そうです。Aさんいますかって聞かれたんですけど、休憩中ですって言って追い払いました｣
おう、辛辣金指くんだ。
賄いを食べながら笑顔を絶やさない金指くんを見て、バックルームに来た店長が驚いていた。
｢金指くん、そんなに笑う子だったの…！？｣
｢？｣
｢店長、お客さん呼んでますよ。｣
店長さえも追い払うなんて将来が楽しみだぁ…。
それにしても変な事言うなあ、金指くんはいつだってにこにこ可愛い子なのに。
それより、龍我くんなんの用事だろう？連絡先知ってるのに直接？
タイミング良くぶぶ、と鳴ったスマホを見ると龍我くんから '明日楽しみだね！'とLINEが入っていた。
…そっか、もう明日か。
お出かけって、いわゆるデートだよね？なんか意識しちゃう…。
｢…Aさん、何かいい事あったんですか？｣
｢え？｣
｢例えば…男、とか？あのトイレ立て篭り男といい感じだったり｣
｢いやいやいや、そんな。龍我くんはただのお友達…だよ？｣
鋭い、めちゃくちゃ鋭い。
金指くんは持っていたスプーンを置いて、｢Aさん嘘つけないタイプでしょ｣と言った。
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作者名：蕎麦リアン
| 作成日時：2019年11月1日 20時
