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覆せない 15 ページ15
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｢な、にするの…｣
脳が冴えると同時、目の前の体を押し離す。
瑞稀くんはすうっと目を細めると、ドアの前に立ち帰り道を塞ぐ。
あの日から瑞稀くんなんて嫌いなのに。
それなのに、握られた腕が熱くて、心臓が煩くて、凄く痛い。
｢そんなに俺が嫌い？話すらしたくない？｣
｢…どいて、｣
｢なあ、一瞬でいいから目合わせて。なんで別れるなんて言ったの、俺、何かした？｣
どうして、瑞稀くんがそんな顔するの。
泣きたいのは私なのに、
｢瑞稀くんが、｣
｢俺が？｣
｢…瑞稀くんが、浮気したんでしょ？｣
瑞稀くんの激しい束縛だって、私の事がそんなに好きなんだって。少し嫌な時はあったけど許せた。
なのに、
半年目の記念日、私が見たのは涙を流した女の子に抱きつかれる瑞稀くんだった。
息が苦しくなって、その場を慌てて離れて、
そして、気持ちの整理がつかないまま別れを告げ瑞稀くんの前から逃げ出した。
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作者名：蕎麦リアン
| 作成日時：2019年11月1日 20時
