はじまり ページ1
「烏野高校はたしか…」
あっちだったよな、とスマホの地図アプリと睨めっこしながら目的地に足を進める。
今日は休日。
受験生の俺は勉強もそこそこにぐーたらしていた。
「暇ならこれ、日向さんとこ持ってって」と我が母特製の肉じゃがが入ったタッパーをもたされ、追い出されるまでは。
もうちょっと息子に対して優しくしてくれてもいいんだよ母さん……。
まあ暇だったのは確かだし、今日はまだ一歩も外出てなかったから気分転換には丁度いいんだけどさぁ。
心の中でぶつくさ言いながらも、隣の日向家のインターホンを押す。
『はーい、どなた？』
「おはようございます、Aです。いつものおそそわけ持ってきましたー」
『あら！！すぐ開けるからちょっと待ってね!』
聞き慣れた声とインターホン越しに会話すると、すぐに玄関が開いた。
「朝早くからすみません」
「いいのよ〜全然！いつもありがとうね〜」
「いえいえ、こちらこそいつもお世話になってます」
最近どう？まぁ、ぼちぼちですね。というテンプレートのような会話から雑談にうつる。
日向家を感じる相変わらずなコミュ力に圧倒されながらも話していると、家の方からドタドタと足音が聞こえた。
「おかあさん！！！」
「あら夏、どうしたの？」
「それが、、って、Aくん！！！」
「おはよう、夏ちゃん」
「おはよう！！」
日向家の末っ子の夏ちゃん。笑顔が素敵な可愛い女の子だ。
俺を見つけた瞬間パァ、と輝くような笑顔を見せた彼女に思わず頭を撫でてしまう。
お巡りさん、俺です。
「えへへ、、って、それどころじゃない！！」
「お兄ちゃんのバレーの靴、置いてあるよ！！！」
「「、、え、？」」
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作者名：わたがき | 作成日時：2024年3月23日 21時
